神経症の治療法、森田療法の特徴と流れについて

神経症の治療法、森田療法の特徴と流れについて

日本で開発された神経症の治療法である「森田療法」は、世界各国の臨床現場でも活用されています。

森田療法は、人間が本来持っている自然治癒力を尊重する心理療法で、現在でも世界中の専門家から高い評価を受けています。

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森田療法の特徴と対象となる病気は?

森田療法は、1920年頃に慈恵医科大学教授の森田正馬が神経症の治療法として創始した方法です。

森田教授は、人間に本来備わっている自然治癒能力を尊重し、森田療法の考え方における基本となっています。

森田療法では、神経症を「あるがまま」に受け入れて、自分がやるべきことを目的本位、行動本位に実行させることを目標とし、神経症形成の根底にある、感情のとらわれの悪循環を断ち切ることを目的としています。

対象となる病気は、現実において適応が難しい神経症が主な対象となっていて、例えば、不安神経症、強迫神経症、対人恐怖症、神経衰弱などがあげられます。

森田療法による治療方法の4つの流れ

森田療法の治療過程は、4つの時期に分類されています。

①臥褥期(がじゅうき)
②軽作業期
③重作業期
④生活訓練期

4つの期を基盤とする森田療法の流れについてポイントをまとめてみました。

第1期「臥褥期(がじゅうき)」

森田療法の第1期である臥褥期(がじゅうき・がじょくき)の期間は、約1週間程度が一般的です。

この時期では、心に抱えている不安をあるがままに受け入れて(受容)、ひたすら床について横になって寝ることが中心です。

朝昼晩の食事、トイレの時間以外はずっと布団で寝続け、面会、読書、喫煙などの慰安行動が禁止されています。

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周囲から隔離状態になるため不安感情が増大することもありますが、不安をあるがままに受容することにより乗り越えて、人間が本来持っている活動欲が出てくるようになります。

第2期「軽作業期」

ただひたすらに寝る臥褥期が終わると、次は軽作業期に入る流れになります。

第2期の軽作業期の期間は、3日間から7日間程度です。

軽作業期でも床に横になって寝る臥褥の時間がありますが、臥褥時間は1日7〜8時間くらいにして、それ以外の時間に掃除や日記などの軽作業に取り組み始めます。

ただし、この期でも、交際、談話、外出は禁止されます。

古事記や万葉集などの古典文学の音読による読書も行われます。

こうした軽作業の活動体験によって、精神の自発的な活動を少しずつ活発化させていくのが第2期の軽作業期です。

第3期「重作業期」

森田療法の後期、第3期は重作業期にあたります。

この期でも、交際、目的のない散歩、体操などは禁じられ、畑仕事や大工仕事など、体を使う作業に取り組む時期です。

重作業期の期間は約1週間から3週間程度となっています。

重作業に取り組むこの時期を経て、些細なことは気にせずに活発に行動できるようになっていきます。

第4期「生活訓練期」

最後の第4期は生活訓練期になります。

この期の期間は数週間程度が目安です。

社会復帰の向けた訓練や準備をする時期で、外出や買い物も許されるようになります。

また、病院から学校や会社に通うことも始まり、まさに社会復帰の準備となる時期にあたります。

このように森田療法は、①とにかく寝て休む、②日記を書いたり掃除などの軽作業、③畑仕事や大工仕事などの重作業、④社会復帰の準備、という流れによって、人間が本来持っている治癒力を活用する治療方法なのです。

現在も、森田療法は世界各地でも実施されていて、基本的には入院期間は40日となっていますが、最近では60日から90日くらいになることが多いようです。

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