家族療法とは?個人より家族を対象とするシステムズ・アプローチ

家族療法とは?個人より家族を対象とするシステムズ・アプローチ

カウンセリングや催眠療法、音楽療法や箱庭療法など、心理療法には様々な種類があり、その数およそ400種類以上とも言われていますが、その中でも特徴的な方法のひとつに「家族療法」があります。

いわゆる一般的な心理療法は、クライエント個人を対象とする個人療法であるのに対して、家族療法では、個人の問題ではなく、家族というひとつのシステム全体から問題ととらえ、解決を目指す療法です。

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家族療法とは、どんな心理療法なのか

家族療法においては、問題をクライエント個人の内的な問題と捉えるのではなく、家族システムの維持や発展のプロセスにおける現象ととらえます。

この「システム」とは、総合に作用し合う要素の複合体、と定義されています。

家族のメンバーの誰かが問題を抱えた場合、家族全体のシステムを変化させること問題となっている症状を改善しようとする考え方があります。

家族療法のシステムズアプローチについて

普通、問題を持っている人をクライエント、または患者と呼んだりしますが、家族療法では患者とみなされる人という意味で「IP(identified patient)」と呼びます。

家族療法のベースとなっているシステムズアプローチの基本的な考え方は次のようになります。

①家族システムには全体性があり、IPが変化するには家族全体が変化することが必要である

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②家族は、別々のパーソナリティを持った構成員の単なる集まりではなく、集合体以上の性質を持つ

③家族システムには、その状態を維持するための大きな抵抗がある

④問題に関係する因果関係は、直線的ではなく、円環的である

⑤システムの構成員である家族のひとりにフォーカスするよりも、システム内の交互作用に焦点を当てる

円環的因果論とは

家族療法は、円環的因果論という考え方が根底にあります。

一般的な考え方は「直接的因果論」と呼ばれ、いわゆる原因があり結果がある、というものです。

不登校の例でいえば、
親が過保護すぎて(原因)
子どもが不登校になった(結果)
というのが直線因果論です。

これに対して、円環的因果論では、

母親が子供に過保護になるのは父親がほとんど育児参加しないから、とも考えらえます。

しかし、父親が育児参加せずに仕事ばかりするのは、家庭でひとりぼっちになっているからかもしれません。

父親が家庭でひとりぼっちになるのは、母親と子供が密着しすぎているから、その母親と子供の密着は、母親の過保護と過干渉が原因、というように捉えられるかもしれません。

家族療法においては、子供が父親と母親の夫婦関係を無意識的に心配していて、その結果不登校になったのでは、と考え問題解決の糸口にするのです。

家族療法の特徴まとめ

・ほとんどの心理療法は個人に焦点を当てる個人療法
・家族療法では「家族」をひとつのシステムととらえる
・問題を解決するためには、個人ではなく、家族システムの変化が必要という考え方

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