スキゾイドパーソナリティ障害の治療と治し方について
スキゾイドパーソナリティ障害は、自分の喜怒哀楽の感情を表現したり、人付き合いや対人コミュニケーションが苦手な特徴があります。
スキゾイドパーソナリティ障害の治療法や治療方針、治し方について、どんなことがポイントになるのでしょうか。
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スキゾイドパーソナリティ障害の治療のポイント
スキゾイドパーソナリティ障害の特徴として、人付き合いを好まず、ひとり孤独でいることを好む傾向があります。また、感情表現が乏しく、対人コミュニケーションが苦手です。
そうした特徴があるため、スキゾイドパーソナリティ障害の人は、社会生活でまわりの人とうまく馴染めず、社会的・経済的自立が困難になりがちです。
スキゾイドパーソナリティ障害の治療目標は、①対人コミュニケーションスキルを身につけること、②家族や職場の人などに自分の特性を理解してもらい、意思疎通がとれるようになること、です。
無理に性格を変えるわけではない
スキゾイドパーソナリティ障害の治し方においての注意点は、無理に性格を変えるわけではない、ということです。
スキゾイドパーソナリティ障害の非社交的な性格を180度変えて、真逆の社交的な性格の人間になろうとすることが治療ではありません。
苦手な対人コミュニケーションや人付き合い、感情表現を無理にさせようとするのではなく、社会生活に必要となるコミュニケーションスキルを身につけることが大切です。
そういう意味では、スキゾイドパーソナリティ障害を治す、克服する、といった類ではなく、あくまで「障害」となっている部分だけを取り除き、社会に適応していくことを目指すのが、スキゾイドパーソナリティ障害の治療方針(治し方)ということができます。
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自己肯定感を育み自信を持つこと
人付き合いを避けて、ひきこもり状態になっているようなスキゾイドパーソナリティ障害の人は、過去経験に誰かに裏切られたり、否定されたなどのマイナス体験があるケースもあります。
そういったマイナス思考やネガティブな思い込みを改善していくことも、スキゾイドパーソナリティ障害の治すための治療法のひとつです。精神療法によるアプローチ(カウンセリング等)を通して、コンプレックスや自己否定感情を軽減し、自己肯定感を育み自信を持つことが大切です。
また、同じ趣味を持つ仲間や、同じ障害がある人たちとの関わりを通して、人付き合いが「おもしろい」「共感できた」「良い刺激になった」など、プラスの体験を積み重ねることで、対人関係に興味がわいてくることもあるでしょう。
治療は本人のペースを大切にする
スキゾイドパーソナリティ障害の治療は、本人のペースを乱さないように配慮することが大切です。無理に本人のやり方や考え方を曲げて、まわりの人に合わせるように強制しないようにしましょう。
人と関わることを無理にすすめたり、本人の好きな趣味を制限したり、独特の世界観を否定することは望ましくありません。また、感情表現が苦手なスキゾイドパーソナリティ障害の人に、言葉や態度などでオーバーアクションするように求めるのも違います。
無理強いをすると、患者本人にとって大きな精神的ストレスになり、ストレスがたまると統合失調症やうつ病を発症するリスクも考えられます。
スキゾイドパーソナリティ障害の治療では、患者本人の考え方やペースを尊重することが重要です。
◆この記事は、精神科医、精神分析家、元福岡大学医学部教授である牛島定信先生執筆・監修「図解やさしくわかるパーソナリティ障害正しい理解と付き合い方 (ナツメ社)」の内容を元に、当サイト編集事務局の心理カウンセラーが記事編集をしています。
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