子供の発達障害と反社会性パーソナリティ障害の関係は?(ADHD・アスペルガー)
反社会性パーソナリティ障害は犯罪者の中に多くみられるパーソナリティといわれています。
また、ADHDやアスペルガー症候群などの子供の発達障害と反社会性パーソナリティ障害は関係が深い、と指摘している専門家もいます。
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発達障害の子どもは反社会性パーソナリティ障害になりやすい?
反社会性パーソナリティ障害は、法律や社会的ルールを無視して犯罪などの反社会的行動(暴行、窃盗、詐欺など)をする人のことです。
反社会性パーソナリティ障害の発症に関して、ADHDやアスペルガー症候群などの発達障害との関連性を指摘している専門家もいます。
というのも、発達障害の子どもの二次障害に行為障害がみられるケースが多いことが理由のひとつになっています。反社会性パーソナリティ障害の診断基準の項目の中にも「15歳以前に行為障害になったことがある」となっています。
発達障害の原因は、先天的な脳の機能障害が関係していて、子供の認知、思考、行動面において障害がみられるものです。反社会性パーソナリティ障害でも、生まれつきの脳の機能障害が要因のひとつになっていると考えられています。
発達環境と反社会性パーソナリティ障害の関係
反社会性パーソナリティ障害の人は、境界性や自己愛性など他のパーソナリティ障害(人格障害)と比べると、子供時代の発育環境がよくないことが特徴です。
虐待やネグレクト(育児放棄)など、子育てにおける親の愛情不足が、反社会性パーソナリティ障害の発症原因に関与しているといわれ、家族関係が崩壊しているケースが少なくないようです。
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子供時代に、家族の人間関係から学ぶべき道徳心、社会的ルール、一般常識などを身につけることができず、社会に不適応な大人へと成長してしまうのです。
仕事ができない、家庭も安定しない
反社会性パーソナリティ障害の問題は、正常な人間関係を築いて社会生活を送ることが難しい点にあります。激しい怒りの感情や攻撃性が突出していて、暴力、窃盗、詐欺などの犯罪行為に走る傾向があります。
そのため、結婚して家庭をもったり、定職について仕事をしていく、という、ごく普通の社会生活をすることができなくなってしまいます。
アルコール依存症や薬物乱用も多い
また、反社会性パーソナリティ障害の人は、アルコール依存症や薬物乱用に陥ってしまうケースも多くみられます。癒しを求めて、安易にアルコールや薬物に走ってしまうのです。
反社会性パーソナリティ障害の人は、他の人の優しややあたたかさに触れて癒される、という経験がなく、酒や薬に頼っているうちに依存症へと発展してしまいます。
自覚がなく、病院を受診しない
反社会性パーソナリティ障害の人の犯罪行為は、まわりの人たちにとって、また社会的にも、受け入れ難い行為です。しかし、困っているのは周りの人たちであって、本人は特に困っているとは感じていません。
そのため、自分が病気や障害かもしれない、と思うこともなく、反社会性パーソナリティ障害であることを自覚していません。自覚がないので、自ら病院を受診することもありません。
反社会性パーソナリティ障害の治療は、司法のもと、矯正施設などでおこなわれるのが一般的です。
◆この記事は、精神科医、精神分析家、元福岡大学医学部教授である牛島定信先生執筆・監修「図解やさしくわかるパーソナリティ障害正しい理解と付き合い方 (ナツメ社)」の内容を元に、当サイト編集事務局の心理カウンセラーが記事編集をしています。
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