【統合失調型パーソナリティ障害】家族の接し方ついて

【統合失調型パーソナリティ障害】家族の接し方ついて

統合失調型パーソナリティ障害(スキゾタイパル人格障害)の患者本人と家族の接し方において、本人の考え方や価値観を否定する関わりは望ましくありません。

また、自分の世界に入り込んでしまっているところに踏み込んだり、無理やり外の世界へと連れ出そうとするのも、望ましい対応とはいえません。

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【統合失調型パーソナリティ障害】家族の接し方のポイントは?

統合失調型パーソナリティ障害(スキゾタイパル人格障害)の人は、認知や思考が偏っていて、テレパシーや超能力があると思い込んでいたり、予言や占いなどをやたらと信じ込んでいたりする特徴があります。

家族からすると「おかしい」「変わっている」と感じられることでしょうが、統合失調型パーソナリティ障害の人との接し方においては、患者本人の考えや思考、価値観を否定・批判するような関わり方は禁物です。

「普通じゃない」と思われるような考えに統合失調型パーソナリティ障害の人がとりつかれてしまうのにも、それなりの理由があると、家族は理解したいものです。また、そうした非現実的な世界にのめりこむことで、なんとか自分の精神状態を安定させることができている、とも考えることができます。

統合失調型パーソナリティ障害の人が、家族や周りの人から自分の考えや価値観を否定されると、情緒不安定になりやすく、奇妙な思い込みや妄想が悪化してしまう可能性も考えられます。患者本人の気持ちを安定させるためにも、批判・否定しない家族の接し方が求められます。

踏み込み過ぎないことも大切

統合失調型パーソナリティ障害の家族の対応のポイントとして、本人を理解しようとして距離感が近くなりすぎないように注意することも大切です。

統合失調型パーソナリティ障害(スキゾタイパル)の人は、自分の世界に浸りやすく、引きこもってしまう場合もあります。家族の人は心配になって、本人が何を考えているのか、あれこれ聞き出そうしたり、外の世界へ連れ出そうとしてしまうこともありますが、踏み込み過ぎないことが大切です。

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患者本人は「他人に自分の世界を干渉されたくない」という気持ちを持っています。たとえ家族であっても、あまり近くに接近してくると、自分の世界を侵すのではないかと警戒心を強めてしまい、過剰反応してしまうこともあります。

基本的に、統合失調型パーソナリティ障害の人は、人付き合いを好まず、ひとりで自分の世界を楽しみたいと思っています。家族が「共感したい・理解したい」と思うのであれば、本人の世界に踏み込み過ぎず、一定の距離感を保ちながら少しずつ本人の気持ちに近づく配慮するようにしましょう。

本人に無理をさせないこと

統合失調型パーソナリティ障害(スキゾタイパル)の人は、対人コミュニケーションが苦手です。そうした人間関係の問題を解決させようとして、対人コミュニケーションを無理やり強要するような関わりはあまりよくありません。

「友達が多い方がいい」などの一般常識的な価値観をかざして、統合失調型パーソナリティ障害の人を責めたり、他人と親密に関わるようにアドバイスすることは控えた方がよいでしょう。

本人が自分からそうした欲求を抱かない限り、対人コミュニケーションをとらせようとすることは、精神的ストレスになってしまいます。

家族の接し方では「傾聴・受容」の姿勢が大切

統合失調型パーソナリティ障害(スキゾタイパル)やスキゾイドパーソナリティ障害の人は、対人関係が苦手で、人づきあいをしたい、他人と理解しあいたい、という欲求がそもそも希薄です。

家族などまわりの人が好意的に親しくなろうと思って近づいても、本人が警戒して、拒絶されることも少なくありません。

ここで気をつけたいのは、「悪意による拒絶」と家族などが思わないことです。統合失調型パーソナリティ障害の人たちは「そういう特徴を持った人」なのだと理解する気持ちの切り替えが大切になります。

患者本人の世界に踏み込み過ぎず、また安易に共感することのではなく、本人の考えや価値観を傾聴し、受容する姿勢が接し方でのポイントです。

受身的な関わりを通していくうちに、患者本人が少しずつ心を開くようになり、周囲の人を信頼するようになっていくことでしょう。

◆この記事は、精神科医、精神分析家、元福岡大学医学部教授である牛島定信先生執筆・監修「図解やさしくわかるパーソナリティ障害正しい理解と付き合い方 (ナツメ社)」の内容を元に、当サイト編集事務局の心理カウンセラーが記事編集をしています。

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