反社会性パーソナリティ障害は病院の治療で治るのか?
パーソナリティ障害(人格障害)のひとつ「反社会性パーソナリティ障害」は、犯罪者に多くみられるパーソナリティ障害といわれています。
反社会性パーソナリティ障害の特徴として、道徳心や良心がなく、傷害、窃盗、詐欺行為などの犯罪行為をすることに対して、罪悪感などを感じないことが特徴的です。
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反社会性パーソナリティ障害の治療に関して、病院を受診して、通院もしくは入院治療を行うことで治るのでしょうか。
病院の治療で治るのか?【反社会性パーソナリティ障害】
反社会性パーソナリティ障害の治療についてですが、通常の病院など、一般の医療機関で治療を受ける、というケースがほとんどないのが実状です。
反社会性パーソナリティ障害の人は、暴力や嘘などの問題行動が多く、また衝動的に破壊行為に走るおそれもあり、一般的な病院での治療上のルールや一般常識を守ることができません。
そのため、通常の医療機関での治療はなじまず、ほとんどのケースで、矯正施設における更生プログラムを通して治療が行われるのが一般的です。
反社会性パーソナリティ障害の矯正施設での治療目標は、更生をはかり、人として社会生活に復帰することです。そのために必要な治療プログラム、更生プログラムが作成されています。
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矯正施設では、反社会性パーソナリティ障害の患者ひとりひとりに合わせた特別プログラムがつくられ、症状に応じて適切な治療教育が行われます。
反社会性パーソナリティ障害の治療は難しい
反社会性パーソナリティ障害の人は、医師などの治療者に対しても、衝動的で破壊的な行動に及んでしまうことも多く、「治療者と患者」というごく普通の関係を築くことも難しいといえます。
ですが、治療が不可能というわけではありません。反社会性パーソナリティ障害の治療の可能性は2つあると考えられます。
1つは、刑事、保護士、治療者のなかに、反社会性パーソナリティ障害の人と心が通い合う人間関係を築くことができる人も少なからず存在する、ということです。ある意味で独特の能力や才能といえるかもしれませんが、そうした資質を持った人から関係の結び方について学ぶことは大きいでしょう。
2つ目は、自己愛性人格障害の患者にもみられる「晩熟現象」です。患者さんが中高年になってくると、それまで尖っていた性格が徐々に穏やかになり、人のために尽くす心が芽生えてくることがあります。そうした晩熟現象をきかっけに、治療の可能性が生まれてくるのです。
◆この記事は、精神科医、精神分析家、元福岡大学医学部教授である牛島定信先生執筆・監修「図解やさしくわかるパーソナリティ障害正しい理解と付き合い方 (ナツメ社)」の内容を元に、当サイト編集事務局の心理カウンセラーが記事編集をしています。
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