自己愛とは?思いやりがない、自己愛性人格障害の心理と原因は?
自分を特別な存在だと思い込み、周りの人からの評価を欲しながら、他人に無関心で共感や思いやりがない、という特徴は、自己愛性人格障害の代表的な特徴です。
自己愛性人格障害は、パーソナリティ障害(人格障害)の1つのタイプですが、そもそも「自己愛」とはどういう意味なのでしょうか。
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自己愛とは、どういう意味?
自信過剰、自己中心的、思いやりがない、というのは、自己愛性人格障害の人によくみられる特徴ですが、まずは「自己愛とは」どういう意味なのか、について書いてみたいとおもます。
自己愛とは、簡単に言うと、自分を肯定し、大切に思う
気持ちのことで、幼い子供時代の幼児期から徐々にはぐくまれていくものです。
未熟な自己愛と成熟した自己愛にちて
自己愛には、未熟な自己愛と成熟した自己愛の2つに分けることができます。
例えば、3歳くらいの子供を例に考えてみましょう。
幼い子供は「自分は何でもできる」という思い込みを持っていますが、その反面、親など身近な人からほめられなければ自信を持つことができない、という不安定さを心に持っています。この心の不安定さは、誰でも子供の頃にもっている「未熟な自己愛」です。
親や身近な人からほめられる、認めてもらう経験を積み重ねて、少しずつ自分の能力を客観的に評価できるようになり、等身大の自分を肯定し、大切な存在と思えるようになります。等身大の自分を「これでいいんだ」と肯定することができるのが「成熟した自己愛」といえます。
自己愛性人格障害の原因と心理について
しかし、子供のころから、親や周囲の人からほめられたり認められる経験が少なく、逆に激しく怒られたり、叱られたり、けなされたり、といった否定される体験が多いと、子供は「等身大の自分」を肯定することができなくなってしまいます。
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その反動から、まるで「けなされて自信を失っている自分を防衛する」ために、誇大的な自己をつくり、大きな態度にでるようになってしまいます。
その状態が、大人になっても続いているのが「自己愛性人格障害」です。このような心理状態がベースとなり、他人の評価や賞賛を強く欲する態度にあらわれるのです。
自己愛性人格障害の2つのタイプ
自己愛性人格障害には、症状や特徴によって、次の2つのタイプ分類されます。
①尊大・傲慢なタイプ
②控えめ・消極的なタイプ
それぞれのタイプについて、特徴や症状のポイントをまとめてみたいと思います。
①尊大・傲慢なタイプ
尊大・傲慢なタイプの自己愛性人格障害は、誇大的な自己を前面に出すタイプです。自己中心的で、横柄な態度、尊大な振る舞いをするタイプになります。
期待している周囲からの賞賛や評価が得られないと、ひどく怒り、暴言や暴力などの攻撃的な態度にでることも少なくありません。これは「自己愛的怒り」と呼び、自信のなさ、劣等感を隠すための怒りです。この自己愛的怒りを維持できなくなると、抑うつ状態に陥ってしまいます。
②控えめ・消極的なタイプ
控えめ・消極的なタイプの自己愛性人格障害は、誇大的な自己を隠すタイプです。まわりの人のことを過剰に気にして、評価や反応に対して敏感な特徴があります。そのため、周囲から注目されることを避ける傾向があり、自分のことををなかなか出そうとしません。
しかし、心の底には「自分は特別な能力を持っている」という誇大的な自己があり、賞賛されるべき存在だという気持ちを潜在的に抱えています。
◆この記事は、精神科医、精神分析家、元福岡大学医学部教授である牛島定信先生執筆・監修「図解やさしくわかるパーソナリティ障害正しい理解と付き合い方 (ナツメ社)」の内容を元に、当サイト編集事務局の心理カウンセラーが記事編集をしています。
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