人を信用できない病気?妄想性人格障害(妄想性パーソナリティ障害)

人を信用できない病気?妄想性人格障害(妄想性パーソナリティ障害)

根拠がないのに人を疑い、全く信用できない、といった特徴がみられる精神疾患(精神病)に「妄想性人格障害(妄想性パーソナリティ障害)」があります。

妄想性人格障害(妄想性パーソナリティ障害)の人は、嫉妬心が強い、疑い深い、人を信じることができない、などの症状が特徴的で、人間関係でのトラブルも多い傾向があります。

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なぜ人を信用できないのか?【妄想性人格障害】

妄想性人格障害(妄想性パーソナリティ障害)の人は、物事を理論的に、理路整然に考えることが困難で、客観的な根拠を認めることができず、やたらと人を疑ってしまう障害(病気)です。

人を信用することができない、根拠なく疑う、相手が悪意を持っていると思い込む、などが妄想性人格障害(妄想性パーソナリティ障害)の人に多くみられる特徴です。

妄想性人格障害(妄想性パーソナリティ障害)の人は、なぜ人を信用できないのか、なぜ疑ってばかりで人を信じることができないのでしょうか。

人を信じることができない原因のひとつとして、母子関係があると考えらえています。赤ちゃんの頃に母親との間で築かれるはずの基本的な信頼感が育まれなかったことが、人に対して信頼感を持てない要因といわれています。

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赤ちゃんが泣いて発信している要求を母親が察知し、それを満たしてあげることで基本的な信頼感が養われていくのですが、妄想性人格障害(妄想性パーソナリティ障害)の人は、その「基本的信頼感」が赤ちゃんの頃に得られなかったと考えられています。

その結果、妄想性人格障害(妄想性パーソナリティ障害)の人は心の底に、「自分は受け入れてもらえるのか」「拒否されたり批判されるのではないか」という不安感を常に抱えてしまうようになった、と推測できます。

他のパーソナリティ障害との合併症も

妄想性人格障害(妄想性パーソナリティ障害)の人は、人を疑い、いつも不安や緊張状態にいることで、心に余裕がなくなり、精神的ストレスがかかりやすくなっています。

また、他のパーソナリティ障害をもともと抱えていた人が、無理をさせられたり、強いプレッシャーを受けたりする体験が元となって、妄想性パーソナリティ障害を合併してしまうケースもあります。

例えば、人づきあいが苦手なスキゾイドパーソナリティ障害の人に無理やり社交的にさせようと強要したり、他人の目が気になる自己愛性人格障害の人にプライドが傷つく体験をさせたりすると、患者本人が精神的に追い詰められてしまいます。

そして、余裕がなくなった精神状態の中で、妄想性人格障害(妄想性人格障害)があらわれてくるのです。

◆この記事は、精神科医、精神分析家、元福岡大学医学部教授である牛島定信先生執筆・監修「図解やさしくわかるパーソナリティ障害正しい理解と付き合い方 (ナツメ社)」の内容を元に、当サイト編集事務局の心理カウンセラーが記事編集をしています。

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