「本当の自分がわからない」と悩みやすい病気?境界性人格障害

「本当の自分がわからない」と悩みやすい病気?境界性人格障害

境界性人格障害(境界性パーソナリティ障害)の人は、「本当の自分がわからない」「自分のことがわからない」と悩みやすい傾向があります。

そのことが、情緒不安定になりやすかったり、自傷行為やアルコール依存などの問題行動の原因になっている、とも考えることができます。

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本当の自分がわからない【境界性人格障害の悩み】

境界性人格障害(境界性パーソナリティ障害)の人は、「確かな自己イメージ」と持てないことが根本的な問題にあると考えることができます。

ここでいう「確かな自己イメージ」とは、自分はこういう人間だ、というアイデンティティのことです。アイデンティティを専門用語でいうと「自己同一性」といい、簡単にいうと「自分らしさ」の意味です。

一般的に人は、どんな状況や場面であっても、ある一定の「自分らしさ」を持っていて、その「自分らしさ」にそって行動したり感じたりします。しかし、「本当の自分がわからない」というようにアイデンティティ(自己同一性)がしっかりしていないと、相手に頼る以外に生き方や行動がわからなくなってしまいます。

その結果、境界性人格障害(境界性パーソナリティ障害)の人は、急に怒り出したり、考え方がコロコロ変わったり、幼稚な行動をしたり、年齢相応に振る舞うことができなくなってしまうのです。

親子関係をベースにアイデンティティは確立される

自己同一性=アイデンティティは、幼児期の子どもの頃から少しずつ育まれていくものです。

乳児期の赤ちゃんは、母子一体感というように、母親と自分のことを一体としてとらえますが、成長して年齢があがっていくにつれ、自分と母親は違う存在であることを意識するようになっていきます。

1歳から2歳ころには、母親のもとを離れてひとり遊びをするようになりますが、完全に離れてしまうことには不安を感じ、何かあったときは母親のそばに行ってしがみつこうとします。

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こうした行動を繰り返していくうちに、ひとりになっても「母親が見守ってくれているような実感」をかじることができるようになっていきます。

しかし、境界性人格障害(境界性パーソナリティ障害)の人は、こうした「内面的な母親イメージ」が形成不全状態であり、確かな自分をイメージできません。その結果、「自分のことがわからない」と悩みやすいのです。

つねに不安感や恐怖感を抱いている

本当の自分がわからない、自分が何者なのかわからない、という思いを抱いている境界性人格障害(境界性パーソナリティ障害)の人は、つねに不安や恐怖を心の感じています。

その不安や恐怖の感情が原因となり、ささいなことで急に怒り出したり、極端な考え方や思い込みをしたり、問題行動をしてしまうのです。

極端な考え方「白黒思考」をしやすい

境界性人格障害(境界性パーソナリティ障害)の人は、「白黒思考」と呼ばれる両極端な考え方をしやすいのも特徴です。

同じ相手に対して、「素晴らしい人・理想の人」と持ち上げておきながら、ささいなことで「最低な人間だ」と急に考え方が変わることが少なくありません。

境界性人格障害(教会史絵パーソナリティ障害)の人は、しっかりとした自己イメージが持てないため、相手の評価に対して敏感です。自分に好意を持ってくれるか、敵意を持っているか、ということに異常なほど過剰反応をしてしまいます。

そのため、会社の上司にちょっと注意されただけで「人間失格・最低の上司」と極端な考え方や激しい思い込みをしてしまうのです。

このように、境界性人格障害の人は、自分自身に対してだけでなく、相手に対しても一貫したイメージを持つことができず、ひとりの人格をトータルとして捉えることができません。

その時々の相手の言動や行動にいちいち過剰反応をしてしまい、その都度一喜一憂してしまいます。こうした人間関係ばかりだと、精神的にもストレスがたまりやすく、さらに自分を見失う要因にもなってしまうのです。

◆この記事は、精神科医、精神分析家、元福岡大学医学部教授である牛島定信先生執筆・監修「図解やさしくわかるパーソナリティ障害正しい理解と付き合い方 (ナツメ社)」の内容を元に、当サイト編集事務局の心理カウンセラーが記事編集をしています。

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