パーソナリティ障害の意味と特徴、性格や考え方が偏っている?

パーソナリティ障害の意味と特徴、性格や考え方が偏っている?

最近「あの人、パーソナリティ障害(人格障害)じゃない?」といったような言葉を聞く機会が増えてきているように感じます。

そこで今回は、パーソナリティ障害の意味と特徴をテーマにポイントをまとめて見たいと思います。

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パーソナリティ障害の意味とは?

パーソナリティ障害とは、英語で「Personality Disorder」と書き、日本語に直訳して「人格障害」とかつては言われていました。ですが、厳密に言うと、英語の「personality」と日本語での「人格」という言葉はニュアンスに少し違いがあります。

英語での「personality」は、性格や性質、人柄という意味合いがありますが、日本語の「人格」という言葉には、人として倫理観や道徳観、良心などを含んだ意味合いになります。そのため「人格者だ」「人格を疑う」という使われ方がされるのです。

「人格障害」という表現だと、その人が悪人で犯罪者のように道徳観や倫理観に問題があるのでは、といった誤解や偏見を生みやすいこともあり、現在の日本では「パーソナリティ障害」と呼ぶようになっています。

性格や考え方が偏っているパーソナリティ障害

パーソナリティ障害とは、ごく一般的な人たちと比べて、思考パターンや物の考え方、捉え方が激しく偏っていて、不適切な行動特性がみられる状態をいいます。

例えば、自信過剰、自信喪失、人を信じることができない、逆に簡単に信じすぎる、といった状態が含まれます。また、衝動的な行動も多く、具体的にはリストカットなどの自傷行為や自殺未遂(自殺企図)、暴言や暴力(DV)、アルコール依存、犯罪行為を起こしてしまうケースもあります。

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パーソナリティ障害の人は、考え方や行動が一般的と呼べる範囲から大きくかたよっているため、周りの人と問題を起こしやすく、家族関係、学校や職場での人間関係においても支障が出やすいのです。

パーソナリティ障害の3つの特徴

日本国内では、パーソナリティ障害の診断基準には、アメリカ精神医学会の「DSM-5」が広く使用されています。DSM-5では、パーソナリティ障害は10タイプに分類されていて、考え方や行動の偏りにも違いがあります。

とはいえ、パーソナリティ障害のタイプが違っていても、全般的には次の3つの特徴がみられます。

①認知、感情、対人関係、衝動性などにおいて、著しい偏りがみられる
②偏りのパターンは、青年期か成人早期(10代後半から20代前半)に始まり、長年続いている
③行動や考え方の偏りによって、社会生活や仕事に支障が生じている

中でも特に③の特徴はパーソナリティ障害を決定づける要素といえます。パーソナリティ障害となるには、単なる性格程度ではなく、学校・家庭・職場での対人関係において、片寄ったパーソナリティが原因で問題や支障が生じ、本人含め周りの人が苦しんでいるケースで「障害」と呼ばれるのです。

偏った性格なのか、障害なのか、の違い

パーソナリティの偏りは誰にでもあることですが、その偏った性格が原因となり日常生活で問題や困難が生じている場合には「障害」といいます。

例えば、引っ込み思案と呼ばれる性格程度であれば、大きな問題はありませんが、それが「人に会うのが怖くて外に出られない」というくらいになってくると、通常の日常生活に支障が生じます。他にも、几帳面な性格が度を越して「几帳面さを人にも強要する」となると、人間関係でのトラブルも増えることでしょう。

◆この記事は、精神科医、精神分析家、元福岡大学医学部教授である牛島定信先生執筆・監修「図解やさしくわかるパーソナリティ障害正しい理解と付き合い方 (ナツメ社)」の内容を元に、当サイト編集事務局の心理カウンセラーが記事編集をしています。

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