【パーソナリティ障害】本人は自覚がない?気づかない、理解されないことも
パーソナリティ障害(人格障害)は、本人も自覚がない、周りの人も気づかない、ということが多い障害です
。パーソナリティ障害の患者さんは、日本でもかなりの割合で存在するといわれていますが、その多くは病院を受診することもなく、もちろん治療も受けずに、日々悩み、苦しみ、つらい毎日を過ごしていると考えられます。
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なぜ、パーソナリティ障害は本人が自覚せず、また周囲の人も気付きにくいのでしょうか。
なぜ、パーソナリティ障害は本人に自覚がないのか?
パーソナリティ障害(人格障害)は、患者本人に自覚がない、という点が大きな特徴のひとつです。
人は誰でも、自分の性格について、どんな偏りがあり、どんな傾向があるのか、自分自身を完全に理解しているわけではありません。パーソナリティ障害の患者さんも、そうでない人もも、自分の「パーソナリティ」について正しく理解できていないことの方が多いのです。
「自分自身の考え方や性格が偏っている」とは誰も思っていないので、パーソナリティ障害と自覚することが難しいのです。本人にとっては、ごく当たり前で、自然な考え方や行動だけど、まわりの人からは理解されず、人間関係でトラブルが生じたり、避けられたりしているケースが多いといえます。
まわりの人も気付きにくい、パーソナリティ障害
また、本人に自覚がないだけでなく、まわりの人も「パーソナリティ障害では?」と気づかないケースが多いのも、パーソナリティ障害(人格障害)の特徴です。
あまりにも常識を逸脱している行動や言動がみられることは、そこまで多いとは言えず、周囲の人が「明らかに異常だ」と思うことはそこまで多くないのです。
その原因のひとつには、パーソナリティ障害の人が、初対面の人や、そこまで親しくない人に対して、自分の内面をさらけ出すことが少ないことがあげられます。
そのため、ある程度距離感が保たれている人間関係で、表面的な関わりだけでは、周りの人もパーソナリティの極端な偏りに気づかないことの方が多いのです。
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普通の人に見える、パーソナリティ障害の患者
パーソナリティ障害の患者さんは、ほとんどの人からみると「普通の人」に見えていることの方が多いといえます。
パーソナリティ障害(人格障害)の人が自分をさらけ出すのは、親しい相手(家族や恋人)などの特別な存在と認めた相手に対してだからです。
そのため、多くの人は、パーソナリティ障害の存在に気きづかず、患者本人が抱えている問題や悩みも理解されにくい状況になりやすいといえます。
受診のきっかけは?【パーソナリティ障害】
パーソナリティ障害(人格障害)は、患者本人にも自覚がなく、周りの人も気づかないことが多く、「病院を受診する」という行動に繋がりにくい傾向がみられます。
では、どのようなことが受診のきっかけになるのでしょうか。パーソナリティ障害の人が病院での診察を受けることになったきっかけは、大きく次の2つに分けることができます。
【受診のきっかけ①】リストカット、過食、暴力行為、アルコール依存
パーソナリティ障害の患者さんが病院を受診するきっかけにひとつは、問題行動がきっかけとなり、家族や恋人、職場の上司が心配して病院に連れていくケースです。問題行動の例としては、リストカットなどの自傷行為、過食、アルコール依存、薬物乱用、暴力行為(DV)などがあります。
【受診のきっかけ②】うつ状態、不眠、体調不良
受診のもうひとつのきっかけは、不眠やうつ状態など、本人が日常生活のなかでストレスをためこみ、心身に何かしらの異常症状があらわれてきたケースです。
病院への受診につながりくい
とはいえ、パーソナリティ障害の患者本人も、家族などまわりの人も、家庭や職場での人間関係がうまくいっていないこと自体には気がついていても、その原因が「パーソナリティ障害」だとは思っていないことの方が多いのです。
本人の性格や考え方が変わっている、という程度にしか考えず、病院で診断を受けて治療してもらう、という障害の存在に気づくことは決して多いとはいえません。
その結果、パーソナリティ障害の患者自身も、家族や恋人、会社のまわりの人も、問題を解決することができず、ストレスの多い毎日になってしまっているケースも少なくありません。
◆この記事は、精神科医、精神分析家、元福岡大学医学部教授である牛島定信先生執筆・監修「図解やさしくわかるパーソナリティ障害正しい理解と付き合い方 (ナツメ社)」の内容を元に、当サイト編集事務局の心理カウンセラーが記事編集をしています。
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