ADHDは成人して大人になれば症状が改善する?成長過程と予後
ADHDは、LD=学習障害やアスペルガーと並び、子供の発達障害として有名ですね。
ところで、ADHDの子供が、小学生から中学生、高校生や大学生へと成長して成人していくにつれて、ADHDの症状はどう変化していくのでしょうか。
スポンサーリンク
子供のADHDは、成長して大人になると症状が改善していくのか、それとも大人になっても変わらないのか、気になったの調べてみました。
ということで今回は、ADHDの子供が大人になったら症状は改善するのか、DHDの成長過程について書いてみたいと思います。
ADHDは成人して大人になると改善するのか?
ADHDの子供が成長したら(予後)、症状は改善したり、ADHDが治るのだろうか、という疑問をもつ人も多いみたいです。
特に、ADHDの子供の将来が心配な親御さんにとっては重要なテーマのひとつですよね。
そこで、子供のADHDの症状は、成人して大人になったら改善したり治ることがあるのか、調べてみました。
ADHDの代表的な症状の3つ「不注意・多動性・衝動性」のうち、多動性の症状は、中学生や高校生などの思春期のころから症状が改善して落ち着いてくる例が多く見られるそうです。
これは治るというよりも、ADHDの子供自身が学校生活などの集団行動の場を経験して、落ち着きのない行動や動き回る行為は、周りの人から嫌われたり不利な評価をされやすいという実体験を通して、自分でコントロールする能力が身についてくるからです。
大人になるにつれて落ち着く多動性の症状に比べると、不注意は成人しても持ちやすい症状といわれています。
ただ、ADHDの不注意の症状についても、注意力不足や気がちりやすい自分の特徴を意識して、対策をたてることで、社会生活の問題が出ないようにしている大人のADHDの人も多くみられます。
子供のADHDが大人になると、それまでの経験や体験をとおして、コントロールしたり対策を練ったりする適応能力が身についてくるので、結果的にADHDの症状が改善する方向へ向かっていくと考えるといいようです。
スポンサーリンク
大人に向けてADHDの症状を改善をするためのポイント
ADHDの子供が成長して大人になるときに、ADHDの症状を改善することができるようになるためには、5つのポイントがあります。
①学習障害やアスペルガーなど他の発達障害や精神疾患の合併がないか、合併症があっても症状が軽いこと
②知的能力、学習能力が平均程度あること
③劣等感が少なく、自尊心を持っていること
④成功体験を持っていること
⑤まわりの人の理解や支援(サポート)が受けられること
この5つのポイントについて、もう少し詳しくみてみましょう。
①他の合併症がないこと
ADHDの子供の場合、LD=学習能力やアスペルガー症候群など、他の発達障害と併発している例も多く見られます。
ADHDの予後に関しては、合併症がない、あったとしても症状が軽いケースの方が、比較よいといわれています。
②平均的な学習能力、知的能力がある
知的能力や学習能力が平均程度持っているADHDの子供の場合、さまざまな体験から学ぶことができ、自分自身で対応していくことが可能です。
特別に優れている必要はなく、ごく一般的な学習能力を持っていれば大丈夫だといえます。
③劣等感が少なく、自尊心が保たれている
ADHDの子供が劣等感(コンプレックス)を感じることがすくなく、自分に自信を持っていることが重要です。
逆に、劣等感が強く、自信がないADHDの子供の場合は、二次障害を起こしやすくなるリスクが高くなります。
④成功体験がある
子供の頃に先生や親からほめれることや、達成感を感じる体験が多いほどいいといえます。
そうした体験を持っているADHDの子供は、安定した心を持ちやすく、プラス思考で物事にもチャレンジしていくことができるようになります。
⑤まわりの人の理解があり、適切なサポートを受けれる
ADHDについて、まわりの人(親や先生など)の理解があり、適切な支援を受けることができるかどうかは、ADHDの予後にとって非常に大切なことです。
ADHDの症状を正確に理解し、適切な支援をする大人がADHDの子供のまわりのいると、ADHDの子供はよりよい方向へ歩むことができるようになります。
◆この記事は、元東京大学医学部附属病院小児科医長、お茶の水女子大学大学院教授である榊原洋一先生執筆・監修「図解よくわかるADHD(ナツメ社)」の内容を元に、当サイト編集事務局の心理カウンセラーが記事編集をしています。
スポンサーリンク