ADHDの不注意の原因「ワーキングメモリー」とは?意味・定義

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ADHDの不注意の原因「ワーキングメモリー」とは?意味・定義

ADHDの特徴のひとつ「不注意」がおこる原因は、ワーキングメモリーという脳の機能が十分に働いていないからといわれています。

今回はその「ワーキングメモリー」とADHDの症状や特徴との関係性についてお伝えします。

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ADHDの原因?ワーキングメモリーとは?

ワーキングメモリーとは、自分が今していることや考えていること(ワーキング)を、客観視にとらえて観察や記憶している(メモリー)もうひとりの自分のことです。

私たち人間は、ワーキングメモリーの働きによって、「6時までに終わらせなければならない仕事をしている」と自分自身を客観的にとらえながら、「今は5時だから、あと1時間で終わらせるためにはもっとペースを上げなければ」という判断をすることができます。

しかし、ADHDの人の場合、ワーキングメモリーの機能がうまく働かないために、今自分がおかれている状況を客観的に分析することができず、適切な行動をすることができないと考えられています。

ワーキングメモリーの具体例

ワーキングメモリーの機能について、ADHDの小学生が宿題を忘れてしまう例で考えてみましょう。

①学校から帰るときは、まだ宿題をしなければいけないことを覚えている

②学校から帰る途中、脳の機能ワーキングメモリーが働かず、宿題をしなければならないことを忘れてしまい思い出せない

③帰宅後も、宿題のことを忘れたままで思い出せない

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④翌日、学校に行って宿題を提出するように、と言われて宿題のことを思い出す

気が散りやすく集中力が続かないADHD

ADHDの代表的な特徴は「不注意」「多動」「衝動性」の3つです。

この「不注意」は、集中力が長く続かない、注意力が散漫で気がちりやすい、忘れっぽい状態を意味しています。

忘れ物が多い

学校で忘れ物が多かったり、宿題を忘れることが多いのもADHDの特徴です。

また、物を置いた場所を忘れてしまい、よく物をなくすがちです。

物だけでなく、人と約束したことも忘れやすいので、待ち合わせの時間に遅れたり、約束を破ってしまうこともよくあります。

途中でほったらかしにする

本を最後まで読んだり、先生の話を最後まで聞くこともADHDの子どもには苦手なことです。

最後までやり遂げることが難しく、途中で投げ出して放ったらかしにしやすいのです。

どこまでやればいいのか、どこで一区切りになるのか、が分からないからです。

気が散って集中力が続かない

ADHDの人は、まわりにある物や聞こえる音などの刺激に気をとられるため、集中力が長続きしない傾向があります。

学校の授業中でも、外から車の音やサイレンの音が聞こえるだけで、途端に集中できなくなってしまいます。

整理整頓が苦手

ADHDの忘れやすい特徴のため、どこに何を置いたか、を忘れてしまい、探す時間が多くなります。

どこにあるのかあちこち探すので、部屋は散らかりやすく、片づける事に集中することも難しいのです。

ケガや事故が多い

ADHDの子は、平均的な子どもと比べると、ケガや事故が多いと言われています。

注意力が散漫なため、車に気づかない、信号を見ていない、など王通事故のリスクが高くなると考えられています。

◆この記事は、元東京大学医学部附属病院小児科医長、お茶の水女子大学大学院教授である榊原洋一先生執筆・監修「図解よくわかるADHD(ナツメ社)」の内容を元に、当サイト編集事務局の心理カウンセラーが記事編集をしています。

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