ADHDの診断方法と診断基準について[DSM-Ⅳ-TR]

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ADHDの診断方法と診断基準について[DSM-Ⅳ-TR]

ADHDの診断方法は、どのような方法で診断されているのか。

ADHDと診断するとき、またはADHDではないと診断するときの診断基準はどんな内容なのか、気になっている人も多いと思います。

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今回は、ADHDの診断内容と診断基準について、いろいろと調べてみたのでまとめてみたいと思います。

ADHDの診断方法は?

ADHDかどうかを診断する方法は、DSM-Ⅳ-TRというアメリカ精神医学会の診断基準か、ICD-10というWHO=世界保健機関の診断基準を使って診断します。

DSM-Ⅳ-TRとICD-10では、DSM-Ⅳ-TRの診断基準の方が多く使われているようです。

診察時の問診や、家庭での子供の様子、保育園や幼稚園、学校での子供の様子などを総合的に判断して、ADHDの診断基準に当てはまるかどうかで診断することになります。

※ADHDの診断基準はこの記事の一番最後に載せておきます。

DSM-Ⅳ-TRの診断基準では、不注意の項目のうち6つ以上か、多動性衝動性の項目のうち6つ以上が当てはまると、その子はADHDと診断されます。

ただ、診断基準には6ヶ月以上続いているか、という内容もあるので、診察時に医師が子供を観察しただけでは分かりません。

ですので、親や先生からの子供についての情報がADHDの診断には重要になります。

例えば、家での子供の行動に関する情報は把握できても、学校での子供の様子が分からない場合には、ADHDかどうか診断することができません。

正確にADHDかどうかの診断をするには、親と先生の両方の協力が必要です。

ADHDの支援は早期診断、早期治療が大切

ADHDは命に関わる病気ではないから、小さい子供のときから診断をして病名をつけて、治療をする必要はないのでは、という意見もあります。

ですが、ADHDの症状が原因で子供が日常生活に困っていたり、問題を抱えて悩んでいるのであれば、早いうちにADHDと診断し、その上で適切な支援をおこなうことが望ましいといわれています。

また、ADHDの治療薬についても研究が進んでいて、薬を使ったADHDの治療方法も確立されています。

ADHDと早期に診断し、早期治療を始めることで、ADHDの困った症状を薬で抑え、問題や困難が解消することもできるのです。

ADHDの診断は子供を支援することが目的

ADHDの診断は子供を適切に支援していくことが大きな目的です。

確かに、子供がADHDじゃないと診断されると親はほっと安心し、ADHDと診断されると親はショックを受ける、ということが一般的です。

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ADHDと診断されるかどうかに関わらず、子供が抱えている問題や困難について、何が原因なのか、どんな対応が望ましいのか、その支援方法を見つけるためのADHDの診断なのです。

ADHDの診断で子供をふるいにかけて選別するようなものではない、ということを再確認しておきたいものです。

ADHDの診断基準[DSM-Ⅳ-TR]

【1か2どちらかが当てはまる】

1 以下の不注意の症状のうち6つ(またはそれ以上)が少なくとも6ヶ月以上続いたことがあり、そのために生活への適応に障害をきたしている。また、こうした症状は発達段階とは関連性がない。

<不注意(注意欠陥)>
(a) 学業、仕事、またはその他の活動において、しばしば綿密に注意することができない、または不注意な過ちをおかす。
(b) 課題または遊びの活動で注意を持続することがしばしば困難である。
(c) 直接話しかけられた時にしばしば聞いていないように見える。
(d) しばしば指示に従えず、学業、用事、または職場での義務をやり遂げることができない(反抗的な行動または指示を理解できないためではなく)。
(e) 課題や活動を順序立てることがしばしば困難である。
(f) (学業や宿題のような)精神的努力の持続を要する課題に従事することをしばしば避ける、嫌う、またはいやいや行う。
(g) (例えばおもちゃ、学校の宿題、鉛筆、本、道具など)課題や活動に必要なものをしばしばなくす。
(h) しばしば外からの刺激によって容易に注意をそらされる。
(i) しばしば毎日の活動を忘れてしまう。

2 以下の多動性-衝動性の症状のうち6つ(またはそれ以上)が少なくとも6カ月以上持続したことがあり、そのために生活への適応に障害をきたしている。また、こうした症状は発達段階とは関連性がない。

<多動性>
(a) 学業、仕事、またはその他の活動において、しばしば綿密に注意することができない、または不注意な過ちをおかす。
(b) しばしば教室や、その他、座っていることを要求される状況で席を離れる。
(c) しばしば、不適応な状況で、余計に走り回ったり高い所へ上がったりする(青年または成人では落ち着かない感じの自覚のみに限られるかも知れない。)
(d) しばしば静かに遊んだり余暇活動につくことができない。
(e) しばしば“じっとしていない”またはまるで“エンジンで動かされるように”行動する。
(f) しばしばしゃべりすぎる。

<衝動性>
(g) しばしば質問が終わる前にだし抜けに答えてしまう。
(h) しばしば順番を待つことが困難である。
(i) しばしば他人を妨害し、邪魔する(例えば、会話やゲームに干渉する)。

◆この記事は、元東京大学医学部附属病院小児科医長、お茶の水女子大学大学院教授である榊原洋一先生執筆・監修「図解よくわかるADHD(ナツメ社)」の内容を元に、当サイト編集事務局の心理カウンセラーが記事編集をしています。

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