ホスピタリズムとマターナル・デプリベーションとは?|意味・特徴・症状
赤ちゃんや幼い子供などの乳児期、幼児期において、母親や父親など家庭から離れて施設などで育った子供が人格形成の障害が起こることがあります。
そこで今回は、ホスピタリズム(施設病)とマターナル・デプリベーションの意味や特徴、症状などについてまとめてみたいと思います。
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ホスピタリズム(施設病)とは?|定義・意味
ホスピタリズム(施設病)とは、施設で育った子供に起こりやすい、心身の発達の遅れや人格形成上の問題のことを意味する言葉です。
病院や乳児院、孤児院など、設備が整っている施設であっても、ホスピタリズム(施設病)になりやすい傾向があるといわれています。
赤ちゃんやまだ幼い子供などの乳幼児期における施設での養育は、立派な施設や設備、優れた養育体制が整っていたとしても、母親と父親のいる暖かい家庭で愛情を受けて育った子供とは精神的な発達に差が出やすいとされています。
ホスピタリズムの特徴と症状について|施設病
ホスピタリズム(施設病)の特徴について、プロヴァンスとリプトンが、施設児童と家庭児童の養育状況の発達上の違いを比較しています。
施設で育った子供は、家庭で育った子供と比べると、能動的経験が少なくなりやすく、経験の質が画一的になりやすいため、心身の発達が遅れ、情緒面においても歪みやすいことが特徴としてあげられています。
具体的な症状には、言語表現が乏しい、動作が鈍い、表情が乏しいなどもみられます。
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このようなホスピタリズム(施設病)の原因のひとつに、スキンシップなどの愛情体験の不足があると考えられています。
また最近では、一般家庭で育った子供の中にも、母親の愛情不足が原因となってホスピタリズムに似ているパーソナリティ障害になるケースもみられます。
マターナル・デプリベーションとは?|意味・症状
マターナル・デプリベーションとは、子供の発達初期に母子関係が欠如すること、母性的な世話やコミュニティがないことを意味します。
最近では、育児放棄(ネグレクト)や虐待など、母性愛にかけた母親も増加傾向にあり、子供の健全な発達に大きな影響を与えています。
愛情不足な養育環境が長期間続くと、病院や施設であっても家庭であっても、子供の心身の発達に様々な問題が生じるようになります。
具体的な症状例としては、すぐキレる、怒りやすい、短気、乱暴する、動物を虐待する、だだをこねる、大人の指示に従わない、いじめをする、夜尿症(おねしょ)、夜驚症、爪かみなどがマターナル・デプリベーションのあらわれとしてみられます。
まとめ
・ホスピタリズム(施設病)とは、施設で育った子供に起こりやすい心身発達の遅れや人格上の問題
・設備や養育体制が整っている施設でもホスピタリズムになる傾向がある
・マターナル・デプリベーションとは、発達初期に母子関係が欠如すること、愛情不足になること
・症状として、すぐ乱暴する、キレやすい、いじめをする、動物虐待、夜尿症、夜驚症、爪かみなどがみられる
◆この記事は、東京福祉大学名誉学長、立正大学 心理学部元教授の松原達哉先生執筆・監修「臨床心理学図解雑学(ナツメ社)」の内容を元に、当サイト編集事務局の心理カウンセラーが記事編集をしています。
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