人格障害は現代病?原因は生まれつきの性格?遺伝子や育て方の影響は?

人格障害(パーソナリティ障害)の発症には、ひとつだけの原因ではなく、いろいろな要因がからんでいると考えられています。

その中で、生まれつきの性質や気質、遺伝子の影響、虐待やネグレクトや虐待などの親子関係が主な原因ではないか、ともいわれることもあります。

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生まれつきの性格が要因?パーソナリティ障害(人格障害)

人は誰でも、生まれながらその人の気質(性格)を持っています。その人のパーソナリティが形成されるまでには、親子関係や生活環境などの影響も受けますが、ベースとなる気質(性格)は本人の生まれつきのものといえます。

例えば、活発な赤ちゃんもいれば、おとなしい子、神経質な子、無頓着な子がいるように、生まれつきの気質(性格)は、その人のパーソナリティの基盤となり、その偏りが人格障害(パーソナリティ障害)の発症原因に大きく関与しているケースもみられます。

遺伝子との関係は?パーソナリティ障害/人格障害

人格障害(パーソナリティ障害)の発症原因のひとつとして、遺伝的要因も関係していると考えられています。

実際の調査で、全く遺伝子を持つ一卵性双生児と、遺伝子が異なる二卵性双生児の場合を比較調査した結果、一卵性双生児の方が双子のどちらもパーソナリティ障害になる確率が高いことがわかりました。このことから、遺伝子とパーソナリティ障害(人格障害)の発症には何かしら関係があると考えられます。

とはいえ、親が人格障害(パーソナリティ障害)だからといって、子供も必ず人格障害になるとまではいえず、人格障害(パーソナリティ障害)に関連する遺伝子がいくつか存在し、それを受け継ぐと発症しやすくなる、程度といえます。

遺伝による病気や障害の発症でいえば、人格障害よりも、糖尿病や高血圧の方が遺伝子の影響が大きいといわれています。

虐待やネグレクトが人格障害の発症原因に?

人格形成に重要な時期である子供の頃に、親からどんな教育やしつけを受けてきたか、ということは、パーソナリティ形成に大きな影響を与えます。

親から十分な愛情を受けて育てられたか、親子の愛着関係はどうか、虐待やネグレクトを受けなかった、ということは、子供本人のパーソナリティの形成と深く関係があります。

幼少期に、親との愛着関係が築かれなかった、虐待やネグレクトを受けた、という場合には、情緒不安定に陥りやすく、大人になってからも些細なことで不安になったり、傷ついて落ち込やすくなってしまいます。

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大人になってからの生活環境や人間関係の影響も

子供の頃の発達環境の影響だけでなく、その後の生活環境や人間関係も、人格障害(パーソナリティ障害)の発症要因になりうる場合があります。

例えば、学校や職場での人間関係がうまくいかず、精神的ストレスが大きかったり、仕事がうまくいかず、自分の能力を発揮できないストレスがたまったりすると、脳内物質のバランスが乱れて人格障害(パーソナリティ障害)を発症しやすくなるといわれています。

脳内物質とパーソナリティ障害との関係

脳内の神経伝達物質のバランスが乱れると、精神状態が不安定になりやすく、その結果、行動や思考がかたより、パーソナリティ障害(人格障害)を発症しやすくなるといわれています。

脳内の神経伝達物質は、脳内の神経細胞間の情報伝達をおこなっており、100種類以上あるが、パーソナリティ障害と関連があると考えられている脳内物質には、セロトニン、ノルアドレナリン、ドーパミンなどが関係しているといわれています。

セロトニンは、心を安定させ、睡眠を整える脳内物質で、セロトニンの量が不足すると、抑うつ、パニック状態、攻撃的になる、などの症状があらわれやすくなります。

ドーパミンは、覚醒、集中力、快楽に関係しており、ドーパミンの量が不足すると、集中力の低下、感情や感覚が鈍くなる、無気力になるなどの症状がみられます。

ノルアドレナリンは、意欲、やる気、不安、恐怖などと関係している脳内物質で、不足すると、無気力、無関心、意欲の低下などの症状としてあらわれます。

このように、脳内の神経伝達物質のバランスが崩れると、感情、思考、行動のそれぞれの面でかたよりがあらわれやすく、パーソナリティ障害の発症要因のひとつになると考えられています。

パーソナリティ障害は現代病?

パーソナリティ障害(人格障害)はある意味で現代病ともいえます。時代の流れや社会情勢の変化とともに、人々の価値観や考え方は変わります。その結果、パーソナリティの捉え方も変わるからです。

例えば、強迫性パーソナリティ障害では、ルールや規則、義務に強くこだわり、社会ルールや道徳に反することを極端に嫌いますが、こうした「きっちりした人」は今は減ってきているといえます。

ひと昔前の日本は厳格な社会でしたが、今はルーズさや寛容さが認められるようになり、規則やルールを守る、地道に努力する、といったことが、以前のようにまで評価されなくなってきています。

時代が変わり、人々の価値観が変わることで、パーソナリティ障害も変化します。その時々の時代や社会状況によって、パーソナリティ障害が増えることもあり「現代病」と考えることもできます。

◆この記事は、精神科医、精神分析家、元福岡大学医学部教授である牛島定信先生執筆・監修「図解やさしくわかるパーソナリティ障害正しい理解と付き合い方 (ナツメ社)」の内容を元に、当サイト編集事務局の心理カウンセラーが記事編集をしています。

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