【パーソナリティ障害の合併症①】うつ病・双極性障害・統合失調症・妄想性障害

【パーソナリティ障害の合併症①】うつ病・双極性障害・統合失調症・妄想性障害

パーソナリティ障害(人格障害)は、症状が似ている病気も多く、合併や併発をおこしやすい障害や精神疾患(病気)もあります。そのため、パーソナリティ障害の診断では、合併症や併発、他の病気との区別をおこなう必要があります。

そこで今回は、パーソナリティ障害と症状が似ている病気、合併症や併発を起こしやすい障害や病気についてまとめてみたいと思います。

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うつ病とパーソナリティ障害

パーソナリティ障害では、うつ病とよく似ている症状がみられることがあります。中でも、境界性パーソナリティ障害、自己愛性パーソナリティ障害、回避性パーソナリティ障害、依存性パーソナリティ障害、強迫性パーソナリティ障害では、うつ病を合併しやすいと言われています。

うつ病でよくみられる症状には、次のようなものがあります。

①抑うつ気分
②興味や関心がなくなる
③食欲低下、体重減少
④睡眠障害(不眠症状)
⑤無気力状態
⑥疲労感、倦怠感
⑦無価値観、罪悪感
⑧思考力、集中力の低下
⑨希死念慮(自殺願望)

これらのうつ病の症状は、パーソナリティ障害でもあらわれる症状です。

躁うつ病(双極性障害)とパーソナリティ障害

双極性障害(躁うつ病)とは、躁状態とうつ状態の両方の症状があらわれる障害です。かつては躁うつ病と呼ばれていました。

躁状態では、気分が高まり、ハイテンション状態で活動的になりますが、1つのことにじっくり取り組むというより、興味が次から次へと移り変わり、話も飛びやすい傾向があります。また、イライラしやすく、怒りっぽくなることも多く、トラブルや問題を起こすケースも少なくありません。

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双極性障害(躁うつ病)は、サイクロイドパーソナリティ障害やサイクロタイパルパーソナリティ障害と関連が深く、合併や併発、鑑別に注意が必要です。

統合失調症とパーソナリティ障害

パーソナリティ障害の中でも、妄想性パーソナリティ障害、スキゾイドパーソナリティ障害、スキゾタイパルパーソナリティ障害は、統合失調症と関係が深く、併発や合併を起こしやすいといえます。

統合失調症の症状は、幻覚や幻聴、妄想や奇行などの陽性症状と、意欲低下や感情鈍麻、社会的孤立などの陰性症状があり、病型タイプによって症状のあらわれかたが変わってきます。

統合失調症は、思考、感情、意欲などの人格全般に障害がおこる精神疾患で、パーソナリティ障害は統合失調症の診断条件を満たさないことが条件になっていますが、近縁疾患であるため、正確な区別や鑑別が大切になります。

妄想性障害とパーソナリティ障害

妄想性障害と妄想性パーソナリティ障害は非常によく似ている病気です。

妄想性障害は、何かのきっかけで誤った思い込みをして、その思い込みが訂正されずに続く障害です。それに対して、妄想性パーソナリティ障害は、正確な根拠もなく、他人が自分に対して悪意を持っていると思い込み、相手に対して恨みや憎しみを抱き、攻撃してしまう障害です。

また、妄想性障害と妄想性統合失調症も似ている病気で、幻聴、させられ体験などの統合失調症特有の症状の有無によって区別されます。

パーソナリティ障害全般において、まわりの人から理解されないことも多く、被害者意識が強くなる傾向があるといわれています。

◆この記事は、精神科医、精神分析家、元福岡大学医学部教授である牛島定信先生執筆・監修「図解やさしくわかるパーソナリティ障害正しい理解と付き合い方 (ナツメ社)」の内容を元に、当サイト編集事務局の心理カウンセラーが記事編集をしています。

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