薬だけでは治らない?パーソナリティ障害の薬物治療と薬の種類について

パーソナリティ障害(人格障害)の治療では、治療薬を用いた薬物療法が行われることが多く、患者本人の強い不安や緊張感、抑うつなどの精神症状を軽減する目的で行われます。

とはいえ「薬を飲んでいるだけではパーソナリティ障害は治らない」と言われることもあり、薬物療法の効果が気になるところです。

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そこで今回は、パーソナリティ障害(人格障害)の治療法としての薬物療法の効果、薬の種類についてまとめてみたいと思います。

薬物療法の効果は?【パーソナリティ障害の治療】

パーソナリティ障害(人格障害)の治療では、薬を使った薬物治療が行われることがあります。というのも、パーソナリティ障害の患者さんが病院を受診する際は、うつ症状がひどかったり、リストカットなどの衝動的行動が激しかったりと、本人が自分でそれをコントロールできなくなっている状態が多いからです。

そういった状態の場合では、まず最初の治療として、激しい精神症状を軽減して、精神状態を安定させることが第一になります。そのときに薬物治療が効果的なのです。

パーソナリティ障害の薬物療法で使われる薬の種類は、その時々の患者さんの症状や状態によって変わってきますが、うつ病の治療薬SSRIや、統合失調症の治療薬である抗精神病薬、不安を軽減する抗不安薬などが使われるのが一般的です。

※薬の種類については記事の最後に載せておきます。

薬を飲むだけではパーソナリティ障害は治らない?

処方薬を使った薬物治療は、パーソナリティ障害(人格障害)を根本的に完治させるたえの治療方法ではありません。あくまでも症状を一時的に抑える対症療法であり、薬を飲めばパーソナリティ障害が治るということは期待できません。

ですが、薬物治療に意味がないということではありません。不安症状や抑うつ状態がつらくてどうしようもないとき、「薬を飲む」という行為そのものが不安を軽減してくれる作用をもたらします。

「自分で不安をなんとか改善しよう」という姿勢は大切です。自分でパーソナリティ障害を治そうという想いがないと、なんでも原因を家族に押し付けてしまい、家庭内暴力などに発展してしまうおそれがあります。

自傷行為や過量服薬に気をつける

パーソナリティ障害の患者さんに、リストカットなどの事象行為、過量服薬などの衝動行為をおこす可能性があるケースでは、家族が注意しながら患者さんの様子を観察する必要があります。

家庭内暴力がひどいと、家族が怪我をしてしまう可能性もあり、家庭そのものが崩壊してしまうリスクも考えられています。そういう点においても、患者本人や家族の生活を守るためにも、薬物治療は有効な治療法といえます。

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また、薬の効果で精神症状を抑え、パーソナリティ障害の患者の精神状態を安定させることは、根本的な治療法であるカウンセリング(精神療法)の効果を向上させる作用もあります。

薬に依存しすぎないように注意すること

パーソナリティ障害の患者さんの中には、依存傾向が強い人もいて、治療薬の効果に過剰な期待を抱いてしまうこともあります。

また「薬を飲めばパーソナリティ障害が治る」と間違った認識をしている場合もあり、薬の種類や効果については、主治医から説明を聞き、十分に理解した上で服用することが望ましいといえます。

薬物療法の最中に、主治医の判断で薬の種類や量を変えることがありますが、疑問がある場合にはちゃんと質問して説明してもらうようにしましょう。

パーソナリティ障害の患者さんの中には「医師から見捨てられた」と被害妄想のような思い込みをしてしまう人もいます。薬物療法への不安や不満は我慢することなく、医師に希望を伝えることが大切です。

パーソナリティ障害の治療薬の種類

【SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)】
SSRIは代表的な抑うつ薬で、うつ症状が強いときに使われる。
・パロキセチン(パキシル)
・フルボキサミン(デプロメール、ルボックス)
・セルトラリン(ジェイゾロフト)

【抗精神病薬】
抗精神病薬は、衝動的行動が激しいとき、怒りや焦燥感を抑える目的で使われる。
・リスペリドン(リスパダール)
・クエチアピン(セロクエル)
・オランザピン(ジプレキサ)
・ペロスピロン(ルーラン)

【抗不安薬】
抗不安薬は、不安感を和らげる目的で使われるが、衝動行為が悪化するリスクもあり、慎重な使用が必要。
・エチゾラム(デパス)
・アルプラゾラム(ソラナックス、コンスタン)
・ブロマゼパム(レキソタン)

【抗てんかん薬】
抗てんかん薬は、衝動性を抑える目的で使用される。
・バルプロ酸ナトリウム(デパケン、バレリン)
・カルバマゼピン(テグレトール、テレスミン)
・ラモトリギン(ラミクタール)

薬の容量、用法を守ること

主治医から処方された治療薬は、用法、用量をしっかりと守って服用することが大切です。「この薬は効かない」と患者の自己判断で服用を中断したり、用量を増やしたりすることは、絶対にやめましょう。

また、薬を飲まずにためておき、一気に大量に飲んでしまうパーソナリティ障害患者さんもいます。こうした問題行動がみられる場合には、薬物療法そのものを中止せざるをえなくなったり、入院治療を行わなければならなくなるケースもあります。

薬の服用においては、医師からの説明をよく聞き、用法・用量を守って正しく服用することが重要です。

◆この記事は、精神科医、精神分析家、元福岡大学医学部教授である牛島定信先生執筆・監修「図解やさしくわかるパーソナリティ障害正しい理解と付き合い方 (ナツメ社)」の内容を元に、当サイト編集事務局の心理カウンセラーが記事編集をしています。

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