家族療法によるパーソナリティ障害の治療について

家族療法によるパーソナリティ障害の治療について

パーソナリティ障害(人格障害)の治療では、カウンセリング(個人精神療法)だけでは治すのが難しいとされています。
そこで今回は、家族療法によるパーソナリティ障害の治療についてポイントをまとめてみたいと思います。

家族療法でのパーソナリティ障害の治療

家族療法では、患者本人だけが治療対象になるのではなく、患者の家族に対しても治療を行っていきます。

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ただし、家族療法では、過去の家族関係を問題に取り上げるのではなく、今現在の家族関係にフォーカスします。パーソナリティ障害の患者本人も含め、ひとりひとりの役割や家庭内での関係を見直し、お互いが理解しあい、それぞれの思いを受け止めることができるように、治療者(精神科医や臨床心理士など)がサポートしていきます。

家族療法のやり方・方法について

家族療法のやり方や方法について、具体的な方法は、精神科医やカウンセラーなどの治療者が患者の家族全員とカウンセリングを行ったり、患者本人の診察に付き添って病院に来たときに家族から話を聞いたりして行われます。

患者の家族からは、家庭での問題や家族関係の悩み、家族が感じていることや思っていることを話してもらい、パーソナリティ障害の患者の対処法や接し方などについて助言や指導を行います。

パーソナリティ障害(人格障害)の場合、患者本人の衝動的行為(家庭内暴力DV・自傷行為・リストカットなど)に家族が苦しんだり悩んでいることも多く、家族が精神的に不安定になっているケースも少なくありません。

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また、家族がパーソナリティ障害の患者本人のことを思ってしている行動や言動が、逆に本人のストレスになっていることもあり、家族の努力が空回りしてしまっているケースも少なくありません。

家族療法では、家族の精神的ストレスの軽減、家族間の問題解決、コミュニケーション方法や患者への対処法など、適切な対応方法について、カウンセラー(精神科医や臨床心理士)から指導してもらうことで、家族間のコミュニケーションをスムーズにとれるようになることが期待できます。

パーソナリティ障害は家族関係の影響が大きい

パーソナリティ障害(人格障害)の治療において、症状の軽減、状態の改善、回復については、家族関係の良し悪しが大きな影響を及ぼすといえます。

家族に理解してもらっている、という安心感を患者本人が感じることができれば、家庭では比較的安定した気持ちでいることができ、パーソナリティ障害の治療に専念することができます。

逆に、家族関係が悪く、患者本人の「家族は理解してくれない・わかってくれない」という気持ちが強い場合には、家庭内での心理ストレスが高まり、精神状態も不安定になりやすく、パーソナリティ障害の回復が遅くなってしまいかねません。

家族がパーソナリティ障害の本人に適切に対処・対応できるように、主治医(臨床心理士)からアドバイスや指導をしてもらうとともに、家族の心身の健康管理も大切になります。

パーソナリティ障害の患者本人だけでなく、家族のひとりひとりが、過剰に不安な気持ちになったり、ストレスをためすぎてしまわないようにすることが、治療に良い影響を与え、回復を早めてくれることにつながるのです。

◆この記事は、精神科医、精神分析家、元福岡大学医学部教授である牛島定信先生執筆・監修「図解やさしくわかるパーソナリティ障害正しい理解と付き合い方 (ナツメ社)」の内容を元に、当サイト編集事務局の心理カウンセラーが記事編集をしています。

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