「育て方が悪い」と親を責めるパーソナリティ障害への家族の対応について

「育て方が悪い」と親を責めるパーソナリティ障害への家族の対応について

パーソナリティ障害(人格障害)の人は「親の育て方が悪かったから」と、親に責任を求めたり、現実の問題の原因を親のせいにしようとすることがあります。

「親が悪い」と責められた時、家族はどのような対応をすればよいのでしょうか。

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親に責任を押し付ける【パーソナリティ障害】

パーソナリティ障害(人格障害)の人の中には、「親の育て方が原因だ」と親を責めることで、責任逃れをしようとする未熟なタイプも少なくありません。

学校や会社での人間関係など、自分が直面している現実の問題であっても、「こんな自分になったしまったのは親のせい」「愛情不足が原因」など、うまくいかないこと全部親のせいにして、責任をとらせようとするのです。

パーソナリティ障害(人格障害)の人が何でも親のせいにして、問題の責任を押し付けようとする理由は、自分で自分の問題を引き受けることができないからです。

パーソナリティが未熟で「一人前の大人」になりきれていないため、自分ひとりで問題と向き合い解決する自信が持てず、激しい不安におそわれてしまいます。そして、その不安から逃れるために、一番身近な存在である母親に依存してしまうのです。

親はどう対応すればいい?

パーソナリティ障害の患者本人が「親が悪い」と親に責任を押し付けてきたときの対応については、親が「自分たちの育て方が悪かったことが原因だ」などと自分たちのことを責めないことが大切です。

パーソナリティ障害の患者本人の問題を親が代わりに引き受けたり、本人の代わりに解決しようとする対応は好ましくありません。

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親が責任の肩代わりをしていては、パーソナリティ障害の患者本人はいつまでたっても未熟なままで「大人」になりきれません。

本人を自立させるためにも、自分の問題は自分で対処し、解決する方向へと考えさせることが大切です。「自分で解決しなさい」「自分で責任をとりなさい」と言うと、パーソナリティ障害の患者本人はさらに不安になってしまい、激しく怒ることもあるかもしれません。

ですが、親としては動揺することなく、毅然とした姿勢でパーソナリティ障害の患者と向き合い、冷静に対応していく姿勢が求められます。

自分のことは自分でやらせる

パーソナリティ障害(人格障害)の人は、心のどこかで「最終的には親が何とかしてくれる」という甘えの気持ちがあることが多いです。

自分の思い通りにいかなくなると、激しく怒り出して「親の育て方が悪かったから」「責任をとれ」などと親に詰め寄り、なんとか親に責任をとらせようとします。そうした思惑に親はハマってしまわないように注意しましょう。

たとえ、育児や子育ての面において親に弱みがあったとしても、育て方の問題と今現在本人が抱えている問題は別です。家庭においても、パーソナリティ障害の患者本人を「ひとりの大人」として扱うようにし、自分の言動には自分で責任を持つように話しましょう。

本人の劣等感を受容することも大切

パーソナリティ障害(人格障害)の患者さんが親を責め、横柄な態度をとっていても、その背景には親に対する引け目のような感情を心の底では感じているはずです。

一見わかりにくいそうした感情を理解してあげることも親の対応として大切です。そして、パーソナリティ障害の人が抱えている「劣等感」「コンプレックス」を刺激するような対応は避け、自信を持たせるような対応が大切です。

◆この記事は、精神科医、精神分析家、元福岡大学医学部教授である牛島定信先生執筆・監修「図解やさしくわかるパーソナリティ障害正しい理解と付き合い方 (ナツメ社)」の内容を元に、当サイト編集事務局の心理カウンセラーが記事編集をしています。

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