【ADHDの原因】遺伝子や脳の働きが関係している?|ワーキングメモリーの不調

ADHDの発症原因はまだ解明されておらず、はっきりとした原因はわかっていません。

ですが、家族性がみられることから、遺伝子が発症原因と関係していると考えられており、また脳の特定部位の働きも関連しているとみられています。

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遺伝子がADHDの発症原因か?

ADHDの発症原因のひとつに、遺伝子の関与があると考えられています。ADHDになりやすい遺伝子を家族間で持ちやすい、ということです。

海外のADHDの研究報告では、ADHDの子どもの他の兄弟もADHDである確率は25%〜35%、両親がADHDの場合に子どもがADHDになる確率は20%〜54%、一卵性双生児のひとりがADHDの場合にもうひとりがADHDになる確率は55%〜92%となっています。

ADHDの通常の発症率は5%程度といわれていて、親や兄弟にADHDがみられる場合の発症率はかなり高くなっていることがわかります。

ですが、ADHDに関係している遺伝子は複数存在していると考えられ、一部だけを受け継いだとして必ずADHDになるというわけではありません。「ADHDは遺伝する」というよりも「家族性がある」という認識が妥当だといえます。

ADHDと脳の働きの関連について

ADHDの人の脳の働きの研究報告によると、特定の部位の働きが低いことがわかっています。このことから、脳の働きとADHDの行動特性との間には、何かしらの関連があると考えられています。

①前頭前野

脳の部位のひとつ「前頭前野」は、実行機能の中枢があるといわれています。実行機能とは、脳にインプットされた情報を的確に認識して、状況や場面に適した行動や反応をしたり、作業や課題をおこなうために、注意や行動をコントロールする機能のことです。

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人の実行機能にはいくつかの種類があり、そのうち、集中力の維持、感情の抑制、ワーキングメモリーの活用などが、ADHDの行動特性と関係があるといわれています。

ADHDの子どもの場合、こうした実行機能が通常の子どもと比較して活発に機能していない、ということです。実際、ADHDの人の脳検査では、前頭前野の活動があまり活発ではないことが分かっています。

②尾状核

脳の部位のひとつ「尾状核」は、運動や行動をスムーズに行うための調整機能を担っています。ワーキングメモリーを働かせ、行動をおこすとき、尾状核は前頭前野とともに重要な役割を果たしています。

脳画像検査によると、ADHDの場合、尾状核の容積が通常よりも小さいことが報告されています。このことから、ADHDの子供がワーキングメモリーをうまく機能させることができないことと、尾状核の働きが関連していると考えられています。

③前帯状回

脳の部位「前帯状回」は、多くの情報から必要なものだけを選択し、不要な情報をカットする「選択的注意」の機能を担っているといわれています。ADHDの場合、この前帯状回の働きが低下している、という研究報告もあります。

ワーキングメモリーの不調とADHD

AHDDの場合、脳の部位である「前頭前野」「尾状核」の働きが不十分であり、ワーキングメモリーがうまく機能しないと考えられています。ワーキングメモリーとは、作業や物事を進めるために、一時的に情報を保持しておく短期記憶のことです。

ADHDでは、集中力の持続、感情のコントロール、行動の計画、思慮深さ、ワーキングメモリーなどの機能を担っている前頭前野の活動が低下しているといわれています。

また、スムーズな運動や行動の調節機能を担ってい尾状核の容積が小さいこともあり、ADHDの場合、ワーキングメモリーがうまく機能せず、場面や状況に応じて適切な行動がとりにくくなっている、と考えられています。

◆この記事は、元東京大学医学部附属病院小児科医長、お茶の水女子大学大学院教授である榊原洋一先生執筆・監修「図解よくわかるADHD(ナツメ社)」の内容を元に、当サイト編集事務局の心理カウンセラーが記事編集をしています。

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