[ADHDの合併症]学習障害(LD)、チック(トゥレット症候群)
ADHDは、合併症が多い発達障害です。
今回は、ADHDの合併症のうち、LD(学習障害)とチック症(トゥレット症候群)についてお伝えします。
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ADHDは合併症の割合が高い
ADHDの症状がある子供が、ADHDの典型的な症状だけで、他の障害がないのであれば、比較的簡単に治療が進みます。
今ではADHDの研究が進み、多動や衝動などADHDの問題となりやすい症状を抑える薬も開発されています。
ADHDの治療薬を飲むことで、学校生活や社会生活での問題が少なくなることが期待されます。
ですが、実際には、ADHDの子供は他の障害も併発しているケースが多く、ADHDは合併症の比率が高い発達障害になっています。
ADHDの合併症に多い障害
・アスペルガー症候群
・自閉症
・精神遅滞(知的障害)
・学習障害(LD)
・失読症(ディスレクシア/読み書き障害)
・トゥレット症候群(チック)
ADHDとLDの合併症が多い
日本ではADHDの合併症についての詳細な調査がおこなわれていないので、正確な数字がわからないので海外の調査データを参考にみてみましょう。
海外のADHDの合併症の調査では、ADHDの子供が学習障害(LD)を合併する割合は約3分の1となっていて、逆にLD(学習障害)の子供がADHDを合併する割合は10〜40%となっています。
ADHDと学習障害(LD)との合併症の割合は、かなり高い比率になっています。
ADHDだけでなくLDも合併している子供の場合、ADHDだけを持っている子供よりも、問題を抱える機会が増え、治療法や対応も複雑になってしまいます。
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ADHDとトゥレット症候群(チック)
トゥレット症候群とは、チック症のことです。
顔や身体の筋肉が、本人の意思とは無関係にピクッと動いたり、大声や汚言を無意識に言ってしまうチック症状が、1年以上の期間続くとトゥレット症候群と診断されます。
チック症は、1万人のうち5人程度の割合で発症する障害で、発症確率は低い病気です。
ただ、チック症(トゥレット症候群)の子供の50%以上がADHDを合併していて、合併症が非常に高い割合になっています。
逆に、ADHDの子供がチック症を合併する割合は7%程度です。
トゥレット症候群とADHDの合併が多い原因は明らかにはなっていませんが、脳機能の異常が共通しているのではないかと考えられています。
精神遅滞(知的障害)とADHDは似ているが違う障害
ADHDの症状のあらわれ方によっては、知的障害(精神遅滞)ではないか、と誤解されることもあります。
不注意、ぼーっとしている、人の話が理解できない、という場合には、子供がADHDであったとしても知的障害と思われやすいのです。
ただ、ADHDの診断基準では、知的障害がないこと、となっています。
ADHDと知的障害(精神遅滞)は、まわりから見るとよく似ていても、本質が違う障害になります。
よく分からなくて心配な場合は、医師に相談するようにしましょう。
【まとめ】
・ADHDとLD(学習障害)の合併症が多い(3分の1)
・ADHDだけでなく他の障害を合併していると、トラブルや問題が多くなり、治療や対応方法が複雑になる
・チック症の半分以上がADHDを合併する
・ADHDのうち7%程度がチック症を合併する
・精神遅滞(知的障害)とADHDは似ているように見えるが違う障害
◆この記事は、元東京大学医学部附属病院小児科医長、お茶の水女子大学大学院教授である榊原洋一先生執筆・監修「図解よくわかるADHD(ナツメ社)」の内容を元に、当サイト編集事務局の心理カウンセラーが記事編集をしています。
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