カウンセリング治療でパーソナリティ障害は治るのか?
カウセリング(個人精神療法)は、治療者(医師など)と患者さんの対話を通じて、患者本人が自分の内面を見つめていく治療法です。
カウンセリング治療は、パーソナリティ障害/人格障害の治療としても行われるのが一般的ですが、果たして効果はどの程度あるのでしょうか、またカウンセリング治療を行う際のポイントはどのような点があるのでしょうか。
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カウンセリング(個人精神療法)とは?
カウンセリング(個人精神療法)は、精神療法の専門家(精神科医・臨床心理士など)によっておこなわれる治療法です。基本的な形として、1回30〜1時間程度、1週間に2回〜3回のペースで対話形式で行なわれます。
面接(対話)では、精神科医などの治療者が患者さんの悩みや問題、希望などを聞きながら、患者本人が自分の心の内面に目を向けていく様に促します。
カウンセリング治療では、パーソナリティ障害の患者本人が自分のパーソナリティを理解し、問題の原因となっている構造に気づきを得るようにサポートしていきます。
そして、考え方や認知のどこに問題があり、どんな考え方や行動をとればスムーズな社会生活を送れるのかを一緒に考えていきます。
カウンセリング治療の効果は時間がかかる
パーソナリティ障害(人格障害)の治療において、カウセリング(個人精神療法)の治療効果はすぐに実感できるようなものではなく、数年単位に及ぶのが一般的です。
そのため、患者の期待が大きく「すぐに治る」と思ってカウンセリング治療を行った場合には、なかなか効果があらわれないことに不満や不安を感じ、途中でカウンセリング治療をやめてしまうことも少なくありません。
パーソナリティ障害(人格障害)のカウンセリング治療は時間がかかる治療であることを、患者本人も家族も十分に理解しておきましょう。
カウンセリング治療は根本的な治療法
確かに、カウンセリング治療(個人精神療法)は長期間に及ぶ治療法ですが、薬物療法のような対症療法ではなく、パーソナリティ障害の問題を根本的に解決しようとするものです。
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薬を飲めば一時的に症状は軽減し、「治っている・改善している」ように感じられますが、薬物療法は「その場しのぎ」の治療法です。
たとえ時間がかかっても、より確実な効果が期待でき、パーソナリティ障害の根本的な改善につながり、ストレスにも強くなる効果も高いといえる「カウンセリング(個人精神療法)」に取り組む価値があるといえます。
主治医と患者の信頼関係が必要
カウンセリング(個人精神療法)は、治療者と患者との一対一の形で行うのが通常です。そのため、治療者(精神科医や臨床心理士など)と患者さんとの間に、十分な信頼関係が築かれていることが必要不可欠です。
しかし、パーソナリティ障害の患者さんは精神的に不安定になることも多く、誤解や間違った思い込みをして主治医を恨んだり、「腕が悪い」と見限ってしまうことも少なくありません。
中には、不安や思い込みが激しいと、予約以外の日や診療時間外に病院に来たり、しつこく電話をしてくるパーソナリティ障害の患者さんもいます。こうしたパーソナリティ障害の患者さんの問題行動が、治療者(主治医や臨床心理士)を困らせることになると治療の継続が困難になってしまいます。
そのため、パーソナリティ障害(人格障害)のカウンセリング治療では、「治療のルール」を決めておくことが望ましいといわれています。
確実に治る、というわけではない
カウンセリング治療(個人精神療法)は、精神科医がおこなう治療法として最も基本的な方法のひとつですが、パーソナリティ障害が確実に治ることを保証する治療ではありません。
個々の治療者と患者との人間関係をベースに成り立つ治療法であるため、カウンセリング治療の効果は不確定要素を含んでいる、というのが現実です。
そのため、患者さんも家族も「カウンセリング治療でパーソナリティ障害が絶対治る」という過剰な期待を抱かないように注意しましょう。
カウンセリング治療の特徴まとめ
・精神科医と患者の対話によって治療が行われる
・主治医と患者の信頼関係が大切
・治療効果があらわれるのに時間がかかる
・誰にでも効果があるわけではない
・「絶対的な治療法」などの過剰な期待を持たないように注意する
◆この記事は、精神科医、精神分析家、元福岡大学医学部教授である牛島定信先生執筆・監修「図解やさしくわかるパーソナリティ障害正しい理解と付き合い方 (ナツメ社)」の内容を元に、当サイト編集事務局の心理カウンセラーが記事編集をしています。
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