ターミナルケアの定義とキュープラー・ロスの死の受容5段階説について
ガンの末期患者や余命数ヶ月の患者さんにおこわなれる心理的援助に「ターミナルケア」があります。
今回は、ターミナルケアの定義や目的、キュープラー・ロスの死の受容5段階説についてまとめて書いてみたいと思います。
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ターミナルケアの定義と目的
ターミナルケアの「ターミナル」という言葉は、治療を目的とした医療がおこなえなくなった状態を意味します。
そして、死を受け入れる終末期にある患者さんに対する心理的援助を「ターミナルケア」といいます。
ターミナルケアは、クライエントに対して無駄な苦しみを与える治療をおこなうのではなく、患者の身体的、精神的、社会的苦痛を和らげ、また家族へのケアをおこなうのと同時に、患者が人生の最後までその人らしく生きることができるように援助することを目的とする心理的援助と定義されています。
例えば、癌の末期患者が自分の病気を受け入れ、死が近づいていることを受容し、余生を充実した時間とし、その人らしい生き方をターミナルケアとして援助していきます。
ターミナルケアのあり方と方法
ターミナルケアは、医師、看護師、精神科医、カウンセラー、ソーシャルワーカー、宗教家、ボランティアスタッフなどでひとつのチームを構成して行うのが一般的です。
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末期患者との対話によるカウンセリングがターミナルケアの基本的な方法となり、死が近づく不安や恐怖の中にいる患者と向き合い、寄り添うことが大切な目的になります。
そのため、ターミナルケアに関わるスタッフは、患者をしっかりと観察し、どんな悩みや心の叫びがあるのか、傾聴し、病歴、生育歴、これまでの生き方などをたずね、患者がかけがえのない存在であることに十分に配慮することが重要です。
そして、患者がどれくらい死について受け入れているのか、死の受容段階を把握しながらケアをおこなっていきます。
大切なことは、患者が感じている不安や恐怖、悲しみや絶望の渦の中に一緒にいてあげること、です。
そして、患者は自由かつ安全に自分の感情を表現できるようにします。
特に、終末期患者の苦痛をやわらげ、最後の瞬間までおだやかに、人間の尊厳を保ち、個性を尊重し、価値ある人生をおくらせようとケアをする施設を「ホスピス」といいます。
キュープラー・ロスの死の受容5段階説とは
キュープラー・ロスは、人が死を受け入れるのには5つの段階があると述べています。
①否認
自分が死ぬことを認められない
「死ぬなんてウソだ」
②怒り
自分が死ぬことに対して怒りを感じる
「どうして私が死ななければいけないの」
③取り引き
④抑うつ
何もやる気がおきず、失望、絶望する
⑤受容
死を受け入れる
残された時間、余生を充実させよう
とはいえ、すべての人がこの5つの段階を経て死を迎えるわけではなく、中には、第1段階の「否認」をしたまま死を迎える患者もいます。
このキュープラー・ロスの死の受容5段階説は、アメリカにおいて病名が告知された末期患者についての研究から提唱されたものであれ、ターミナルケアにおいてとても役立つものです。
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