【職場の対応】パーソナリティ障害の部下や上司との接し方について

最近、職場でのパーソナリティ障害(人格障害)の問題についての関心が高まってきているように感じます。

会社内(職場)にパーソナリティ障害/人格障害の患者さんがいる場合、どのような接し方や対応が望ましいのでしょうか。そこで今回は、職場でのパーソナリティ障害(人格障害)の人への対応についてポイントをまとめてみたいと思います。

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職場でも多い?パーソナリティ障害の問題やトラブル

最近、パーソナリティ障害(人格障害)の患者数が増加しているといわれるとともに、勤務先や職場でもパーソナリティ障害の社員に関するトラブルや問題も増えているといわれています。

パーソナリティ障害の人が職場で起こしやすいのは、コミュニケーション能力の低さによる人間関係の摩擦やトラブルです。例えば、上司や取引先に対して失礼な態度をとったり、職場の同僚に対して暴言を吐いたり、すぐに怒り出して反感を買ったりするケースも多くみられます。

パーソナリティ障害の社員は、同じ職場の仲間と意思疎通をすることが苦手で、仕事にも支障が生じやすくなってしまいます。

パーソナリティ障害の社員はトラブルメーカー?

職場の中にパーソナリティ障害の社員がいると、数人のチームで共同作業をしたり、チームで一緒に仕事に取り組んだりする場合に、協調性がない行動や、他の人に依存して自分は何もしなかったり、という行動をする傾向があります。

ほかにも、一般常識がなく、当たり前のルールや規則が守れず、問題行動を起こしやすいケースもみられます。

そのため、パーソナリティ障害の社員は、職場の周りの人から「トラブルメーカー」「問題児」と思われてしまうことも多く、同僚から距離を置かれ、避けられてしまうケースも少なくありません。

コミュニケーションの問題が多い

パーソナリティ障害(人格障害)の人は、コミュニケーションスキルが低いことが多く、それが原因で職場での人間関係においてもトラブルや問題を生じさせてしまう傾向が高いといえます。

例えば、一般常識的な礼儀作法やマナーがなく、無礼な言葉遣いをしたり、相手を不快な気持ちにさせてしまうことがあります。

ですが、パーソナリティ障害(人格障害)の本人に悪意があるというよりも、状況に適したコミュニケーションのとり方がわからないケースのほうが多いといえます。

ソーシャルスキルを身につけることが大切

一般的には、対人コミュニケーションを含め、社会生活で必要となるソーシャルスキルは、幼少期の親子関係や思春期の友達関係などを通して、少しずつ身につけていくものです。

しかし、パーソナリティ障害の人は社会性の発達が未熟なため、どのような状況や相手によって、どう対応したり、行動すればよいのか、が理解できず、問題行動に走ってしまうケースが多いといえます。

ですから、そうしたコミュニケーションスキルや問題解決スキルといった「ソーシャルスキル」の弱さを補うような指導をすることで、パーソナリティ障害の人に多いコミュニケーションの問題改善につながることでしょう。

会社のルール(社内規則)を守らせる

パーソナリティ障害(人格障害)の人の中には、遅刻や欠勤、お昼休みなど、ごく当たり前の一般常識や会社のルールをきちんと守れない人も少なくありません。無断欠勤や無断で遅刻をしたり、昼休みを勝手に延長したりと、ルール違反をしてしまうケースもあります。

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職場の対応として、パーソナリティ障害の人がルールに違反したときは、きちんと注意をすることが大切です。また、パーソナリティ障害の人が一般常識や社会ルールを知らなかった、ということも多い為、ただ注意するだけでなく、次からはきちんと守れるようにサポートする対応も求められます。

会社であれば、就業規則を明文化し、提示するという対応も大切です。規則の内容を誤解していたり、忘れてしまうケースも少なくないため、職場内での話し合いや確認も重要になります。

パーソナリティ障害の人は、自分に自信がなく、不安感が強いことも多い為、うまくできたときには「しっかりしてきたね」「うまくできるようになったね」など、評価してあげるとよいでしょう。まわりの人から褒められたり、評価される体験を通して、自己肯定感を持ち、精神的にも安定しやすくなります。

特別扱いしないようにすること

社員がパーソナリティ障害であることがわかった場合、職場内で公表されることはあまりないと考えられます。個人情報のこともあるので、直属の上司や人事総務の一部の人だけが知ることになるのが一般的です。

パーソナリティにかたよりがあり、対応方法には周囲の配慮が必要ではありますが、まわりの他の社員の目もあるため、あからさまに特別扱いをしないように配慮すべきです。

ルールを破ったのに大目にみたり、問題やトラブルを起こしても注意をしない、といった対応は、本人の為にも、職場のためにもなりません。

パーソナリティ障害の社員への対応ポイント

パーソナリティ障害の社員が同じ職場内にいる場合、それぞれの患者の考え方や思考パターン、価値観などの傾向を把握し、それぞれにあった仕事内容や接し方の工夫が求められます。

複数の人が一緒に仕事をする職場内で、パーソナリティ障害の社員だけに特別な配慮をするのは現実的には困難かもしれませんが、本人の得意な仕事を任せたり、理解者をそばに配置させるなど、ちょっとした配慮をするだけでも、パーソナリティ障害の患者の気持ちが安定しやすくなることがあります。

パーソナリティ障害の社員が精神的に安定することで、職場内の雰囲気がよくなったり、仕事の能率をアップさせることにつながります。そういう点では、パーソナリティ障害に限らず、ひとりひとりのパーソナリティを理解し、適材適所に人材を配置できれば、仕事の成果も上がるメリットがあるといえます。

上司がパーソナリティ障害の場合は?

パーソナリティ障害(人格障害)は比較的若い年齢層に多くみられる傾向がありますが、必ずしも部下だけとはいえず、上司がパーソナリティ障害であるケースもあります。

上司がパーソナリティ障害だと、自分の失敗やミスの責任を部下に押し付けたり、自分の思う通りにならないと職場の人に対して暴言を吐いたりして怒りをぶつけることもあります。

上司がパーソナリティ障害だと、立場的にも部下は弱い立場になり、言いたいことがあっても言えない、上司の理不尽さに振り回されるというケースも考えられます。

そういった状況を放置しておくと、自分がパーソナリティ障害だという自覚がない上司のやりたい放題になってしまう可能性もあり、部下の精神的ストレスが大きくなり、うつ病の発症原因になることもあります。この場合は、総務や人事を含め、会社全体で対応を検討する姿勢が望まれます。

◆この記事は、精神科医、精神分析家、元福岡大学医学部教授である牛島定信先生執筆・監修「図解やさしくわかるパーソナリティ障害正しい理解と付き合い方 (ナツメ社)」の内容を元に、当サイト編集事務局の心理カウンセラーが記事編集をしています。

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