精神疾患の診断基準DSM-5について|精神障害・精神病・心理
うつ病やパニック障害、パーソナリティ障害、統合失調症、PTSDなど、精神科医が患者さんを診断する際、担当医によって診断が違ってしまわないように、日本でもDSMという診断基準が使われています。
そこで今回は、診断基準であるDSMについて書いてみたいと思います。
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日本で使われている診断基準DSMとは?
DSMとは、英語で「Diagnostic snd Statistical Manual of Disorders」といい、日本語には「精神障害の診断と統計のためのマニュアル」と訳されています。
3つの頭文字をとって「DSM」と呼ばれることも多く、アメリカ精神医学会によってつくられた診断基準になります。
精神医学や臨床心理での病気や症状は、血液検査やレントゲン検査ではっきりと数値化できないものが多く、基本的には医師と患者との面談によって診断されることになります。
かつては、医師の経験年数によって診断名が変わってしまうこともあり、問題視されていました。そうした問題をできるだけなくそうという背景からDSMがつくられたのです。
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DSMの特徴について|操作的診断・多軸診断
DSMでは、どの医師が診察をしても同じ診断になるように、一定の基準に照らし合わせて客観的に診断しようという「操作的診断」になります。
うつ病やパニック障害、パーソナリティ障害など、それぞれの精神疾患の症状について、項目をひとつずつチェックしていき、例えばチェック項目の数が3つ以上の場合は◯◯病と診断されるのです。
DSMの特徴は、このような診断手続きを多方面から行うことで「多軸診断」と呼ばれることもあります。
第1軸(臨床疾患)
第2軸(人格・発達障害)
第3軸(身体疾患)
第4軸(心理的社会的・環境的問題)
第5軸(機能の全般的評価)
この5つの観点から総合的に判断、診断が行われます。
現在では最新版はDSM-5となり、第5版が発行されていて、日本だけでなく世界各国で採用される診断基準になっています。
ただし、改訂されるたびに診断名が異なっていたり、症状同士の関係が曖昧、平板で羅列的という批判もあります。
◆この記事は、東京福祉大学名誉学長、立正大学 心理学部元教授の松原達哉先生執筆・監修「臨床心理学図解雑学(ナツメ社)」の内容を元に、当サイト編集事務局の心理カウンセラーが記事編集をしています。
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