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ADHDの合併症、反抗挑戦性障害と行為障害の症状と診断基準について

ADHDの子供が、まわりの人たちからADHDの特徴を理解されず、適切な支援がなされなかった場合、攻撃的になったり、反抗的になったり、反社会的な問題行動をとるようなことがあります。

そういったADHDの二次障害に、反抗挑戦性障害と行為障害があります。

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学習障害やアスペルガー以外のADHDの二次障害

ADHDの子供は、LD(学習障害)やアスペルガーなど広汎性発達障害と合併症を起こしやすい傾向があります。

また、LD(学習障害)やアスペルガーとは別に、ADHDの二次障害になりやすい障害があります。

ADHDの二次障害に多いのが、反抗挑戦性障害と行為障害のふたつです。

反抗挑戦性障害と行為障害の合併症は、ADHDの症状のなかでも多動性・衝動性の場合に起こりやすいとされています。

反抗挑戦性障害とは?

反抗挑戦性障害は、ADHDの子供の約5割近くの割合で合併を起こすといわれているくらい、ADHDに多い合併症です。

反抗挑戦性障害の特徴的な症状は、かんしゃくを起こしやすい、大人と口論する、わざと無視する、規則や指示にわざと従わない、拒否するなどの反抗的な態度をとる状態です。

親や教師を含めた大人に対して、挑発するような行動をとることもあります。

この反抗挑戦性障害の症状がひどくなり、悪化して行為障害になるケースもあります。

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行為障害とは?

行為障害とは、反抗挑戦性障害が悪化しエスカレートして起こる障害です。

行為障害の子供は、大人や世の中に対する反抗心が非常に強く、暴力をふるう、破壊行為や威嚇行為をするなど、反社会的な行動が多発するようになります。

行為障害は、小学生のADHDの子供の約2〜4割の割合、中学生や高校生など思春期のADHDの約4〜5割の割合で合併するという調査報告があります。

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合併症を起こしやすいADHDの子供の特徴

学習障害(LD)やアスペルガー症候群などの広汎性発達障害とADHDの合併症は、どちらも生まれつきの先天的な障害なので、合併症の予防対策が難しいといえます。

ですが、反抗挑戦性障害や行為障害とADHDの合併症は、ADHDの子供へのまわりの人の対応や接し方で、合併のリスクを軽減することが可能です。

ADHDの子供が反抗挑戦性障害や行為障害の合併症を起こす原因には、ADHDの子供自身が成長段階においてまわりの大人や社会に理解されてこなかった、受け入れてもらえなかったという経験から、反抗心、反発心が生まれてくるからと考えられます。

ADHDの症状のせいで、親や教師をはじめとするまわりの大人たちから、起こられたり叱られたりする機会が多くなりやすいADHDの子供は、自己否定や劣等感(コンプレックス)を抱きやすく、自尊感情が低下しがちです。

自尊心が下がった心理状態のままでいると、反抗腸線障害や行為障害の合併症を起こしやすくなります。

ADHDの子供をきちんと理解し、ADHDとい障害を受け入れるまわりの姿勢が、ADHDの子供の自尊心を育て、ADHDの合併症を予防することにつながるのです。

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反抗挑戦性障害の診断基準[DSM-Ⅳ-TR]

反抗挑戦性障害の診断基準(DSM-IV-TR)は次の通りです。

A.少なくとも6ヶ月持続する拒絶的、反抗的、挑戦的な行動様式で、以下のうち4つ(またはそれ以上)が存在する。
(1) しばしばかんしゃくを起こす。
(2) しばしば大人と口論をする
(3) しばしば大人の要求、または規則に従うことに積極的に反抗または拒否する。
(4) しばしば故意に他人をいらだたせる。
(5) しばしば自分の失敗、不作法を他人のせいにする
(6) しばしば神経過敏または他人からイライラさせられやすい。
(7) しばしば怒り、腹を立てる。
(8) しばしば意地悪で執念深い。
注:その問題行動が、その対象年齢および発達水準の人に普通認められるよりも頻繁に起こる場合にのみ、基準が満たされたとみなすこと。

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B.その行動上の障害は、社会的、学業的、または職業的機能に臨床的に著しい障害を引き起こしている。

C.その行動上の障害は、精神病性障害または気分障害の経過中にのみ起こるものではない。

D.行為障害の基準を満たさず、またその者が18歳以上の場合、反社会性パーソナリティ障害の基準は満たさない。

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行為障害の診断基準[DSM-Ⅳ-TR]

行為障害の診断基準(DSM-Ⅳ-TR)は次の通りです。

A.他者の基本的人権または年齢相応の主要な社会的規範または規則を侵害することが反復し持続する行動様式で、以下の基準のうち3つ(またはそれ以上)が過去12ヶ月の間に存在し、基準の少なくとも1つは過去6ヶ月の間に存在したことによって明らかになる。
<人や動物に対する攻撃性>
(1) しばしば他人をいじめ、脅迫し、威嚇する。
(2) しばしば取っ組み合いの喧嘩を始める。
(3) 他人に重大な身体的危害を与えるような武器を使用したことがある (例:バット、煉瓦、割れた瓶、ナイフ、銃)。
(4) 人に対して残酷な身体的暴力を加えたことがある。
(5) 動物に対して残酷な身体的暴力を加えたことがある。
(6) 被害者の面前での盗みをしたことがある(例:人に襲いかかる強盗、ひったくり、強奪、武器を使っての強盗)。
(7) 性行為を強いたことがある
<所有物の破壊>
(8) 重大な損害を与えるために故意に放火したことがある。
(9) 故意に他人の所有物を破壊したことがある(放火以外で)。
<所有物の破壊>
(10) 他人の住居、建造物、または車に侵入したことがある
(11) 物や好意を得たり、または義務を逃れるためしばしば嘘をつく (すなわち、他人を「だます」)。
(12) 被害者の面前ではなく、多少価値のある物品を盗んだことがある(例:万引き、ただし破壊や侵入のないもの;偽造)。
<所有物の破壊>
(13) 親の禁止にもかかわらず、しばしば夜遅く外出する行為が13歳以前から始まる。
(14) 親または親代わりの人の家に住み、一晩中、家を空けたことが少なくとも2回あった(または、長期にわたって家に帰らないことが1回)。
(15) しばしば学校を怠ける行為が13歳以前から始まる。

B.その行動の障害が臨床的に著しい社会的、学業的、または職業的機能の障害を引き起こしている。

C.その者が18歳以上の場合、反社会性パーソナリティ障害の基準を満たさない。

<発症年齢に基づいて病型のコード番号>
312.81 行為障害、小児期発症型:10歳になるまで行為障害に特徴的な基準の少なくとも1つが発症。
312.82 行為障害、青年期発症型:10歳になるまで行為障害に特徴的な基準がまったく認められない。
312.89 行為障害、発症年齢特定不能:発症年齢が不明である。

<重症度の特定>
軽症
  診断を下すのに必要な項目数以上の行為の問題はほとんどなく、および行為の問題が他人に比較的軽微な害しか与えていない(例:嘘をつく、無断欠席、許しを得ずに夜も外出する)。
中等度
 行為の問題の数および他者への影響が”軽症”と”重症”の中間である(例:被害者に面と向かうことなく盗みを行う、破壊行為)。
重症
  診断を下すのに必要な項目数以上に多数の行為の問題があるか、または行為の問題が他人に対して相当な危害を与えている(例:性行為の強制、身体的残酷さ、武器の使用、被害者の面前での盗み、破壊と侵入)。

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◆この記事は、元東京大学医学部附属病院小児科医長、お茶の水女子大学大学院教授である榊原洋一先生執筆・監修「図解よくわかるADHD(ナツメ社)」の内容を元に、当サイト編集事務局の心理カウンセラーが記事編集をしています。

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